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Episode19 ページ21

エマは可愛いから人目を引く。横に並んでる私が不審者っぽいから今日はなおさら。




終始ご機嫌だったエマの買い物に付き合わされ、荷物持ちとしての仕事を全うした私。
エマの家に戻ってくる頃には既にへとへとになっていた。夜ごはんも外で食べたので、時間的にも割といい感じに。




「マイキー今日ドラケンのとこ泊まるって言ってたし、安心していーよ!」
とのことなので、お風呂を有難く借りさせていただき、その後はエマの部屋でお菓子を食べ始めた。



「ちょっと喉乾いたかも」

「ん、台所にジュースあったし、ついでにウチの分もー」

「人使い荒いな…はいはい」



台所ってどこだっけな、と廊下を曲がったところで、


「…へ?」

「――ん?」

――ちょうどシャワーを浴び終えたばかりなんだろう、上半身裸で首にタオルを巻いたマイキー君と鉢合わせしました。






□■ side 万次郎 ■□




頭を拭きながら廊下を曲がり、突如として現れた少女の存在に、はたりと歩みを止める。
その常軌を逸する人外の美貌に、無敵と呼ばれる彼ですら、思わず息を詰めた。


緩やかなウェーブを描きつつ腰まで到達した、豪奢なプラチナブロンド。
その頬は、白い陶器に淡紅色の花びらを一枚浮かべたかのよう。ほんのりと上気した様が、しっとりとした色気を含み、どことなく艶っぽい雰囲気を醸し出していた。


透き通る翡翠色の瞳は、まるで魅了の呪いでも付与されているかの如く、見る者の意識をとらえて離さない。淡いブルーのドレスのような服装が、彼女の清楚さを一層際立てていて。



華奢な肢体は風に抱かれることすら危うげに思われて、その身に纏った一枚の布だけが、彼女の素肌に触れることを世界に許されたのだと、納得させる儚さがあった。



ビスクドールのように精緻な面貌は、美を探求する芸術家が生涯をかけてもたどり着けない、いわば神がかった至高の領域に達していると言っても過言ではない。







そうやってしばらく見つめ合うこと、時間にして約3秒。

「……っ」

万次郎が何か言葉を言いかけようとする前に、先に少女がパッと身を翻す。



「!……ちょ、待っ―――」

引き留めようと手を伸ばした時、彼女の姿は既に視界から消え去っていた。今のはいったい何だったのだろうと、目をこすった後、妹の部屋へと直行する。

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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時

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