自分の顔が綺麗すぎて二度見した。

Episode01 ページ3

私の顔を見て、フリーズしたり、にこにことすり寄ってきたり、果てにははぁはぁと荒い息をついたり、多種多様の反応を見せてきた人たちの行動の理由が、なんとなくわかった気がした。



どうしようどうしようと焦っていた時、


「Aー、どーかしたのかー？」

「ちふゆー！」


大好きな友達のちふゆが、私の様子を見かねたのか、遊んでいた手を止めてやって来る。


「だめだよちふゆ、わたしはじぶんのびぼうに…」

「なにいってるかよく分からねーけど、おれはどんなAでも、Aといっしょにいるけど」



優しい言葉に、胸がジーンとした。
感極まって抱き着けば、簡単に受け止めてくれて。



「ちふゆ好きー！」

「おれもすき。ってことで、はい、これ」

手を掴まれて指に何かを嵌められる。それは、シロツメクサの茎で作った指輪だった。



「おおきくなったら、おれとAはケッコンするんだ」

「へー」


ケッコンって、確か、女の子が男の子の苗字になることだった気がする。つまり、まつのAになるということ。私は自分の名字が好きなので、少し残念。






それから時は経ち。小学校6年間の間は私の友達はオンリー千冬、中学受験をして私立の女子中に入ってからは、友達ゼロという悲しい結果に。



まあそれも仕方ない。もともと誰かと話をするのは苦手で、正直目を合わせることすらしたくなかったし。





極力誰とも関わらないようにして、陰に身を潜めるようにして生きてきた。
そうやって、目立たないように生きることが、いつの間にか癖になっていた。

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