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Episode16 ページ18

□■ side 万次郎 ■□


ふだんからは考えられないほど滑らかに話すAの声音は、花のように可憐で、それでいて一切温度が感じられない分、逆に恐ろしかった。


「それじゃあ、さよなら」

「あ、」


言いたいことだけ言い終えると、スルスルと降りてそのまま帰ってしまう。



「……何だよ、」

悪気無く言ったつもりだったのに、どうやらこの話題は彼女にとっては地雷だったみたいで。悪態をつこうとして、その言葉が途中で終わる。





その次の日、半ば懇願するような気持ちで公園に向かえば――――いた。昨日と同じく、ジャングルジムのてっぺんで、一人、黄昏ていた。





「―――昨日は、悪かった」

「……。――私に謝っても、意味はない…と思う」

「不快な気持ちにさせて、ゴメン」


なぜ、こんなにも彼女の許しを得たかったのか、自分でもよく分からない。ただ、嫌われたくないという感情のみが、胸の根底を渦巻いていて。



「――もういいよ」

表情こそ見えないものの、その雰囲気は確かに、丸く、柔らかみを帯びて。きっと微笑んでいるんだろうと確信できる何かがあった。


たった一言で、滑稽な程安堵した自分がいる。









自分から話すことは皆無だけれど、Aは聞き上手だった。話の合間に時折相槌を打ち、万次郎も、彼女になら何でも話してしまいたい気分になって。



夕方の公園で、Aに話を聞いてもらうという日々が続く。基本的には自分の話を聞くだけのAが、千冬の話を出したときのみ、僅かに前のめりになる。





「何、もしかしてオマエ、千冬のこと好きなワケ?」

――軽く、冗談のつもりだった。こういった話題を彼女に振れば、どんな反応をするのか気になっただけで。



「・・・」

Aは無言だった。沈黙は無言の肯定ともいうけれど、Aの場合は無言の否定の時も多い。今回もきっと後者なんだろうと勝手に決めつけて、



「……なんで、」

「へ?」

「――なんで、分かったの」



今にも泣きだしてしまいそうな、震えた声だった。か弱くて、儚くて、守ってあげたくなるような、そんな声。こんな声も出すのか、とぼんやり考えて。



そこに来てようやく気付いた。――彼女の耳が、有り得ないほど赤く染まっていることに。

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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時

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