Episode15 ページ17
ああ素晴らしき黄昏時かな。
只今私此花A、ジャングルジムのてっぺんで沈みゆく夕陽を眺めております。
我ながら子供っぽいことしてんなーとか思いつつも、ベストスポット見つけてしまったのだから仕方ない。
サンライズよりもサンセットの方が好き。空が燃えるような茜色に染まって、一面赤い世界になるのが何となく面白い。
「あー、そこオレの特等席なのにー!」
突然下から聞こえてくる不満気な声。夕陽を見つつ千冬に思いを馳せていたのが、一気に現実に引き戻されて。
スルスルとサルのごとき俊敏さで上まで上がってきたのは、紛れもなく、モンキー君……じゃなかった、マイキー君。
「……」
ごめんなさいと言う代わりに小さく頭を下げた後、無言で私はジャングルジムを降り始める。降りようとして、
「別にもういーよ。なんか俺がすっげーケチな奴みたいじゃん」
「……っ」
止めてジャングルジムみたいな不安定な場所で腕を思いっきり引っ張らないで!体勢崩しかけて今めっちゃヒヤッとした死ぬかと思った!そしてケチさ加減に関してはもう十分ケチだと思うから、今更もう遅いと思うぞ?
「オレの特等席譲ってやったんだから、ちょっとはオレの話に付き合えよ、A」
……そして恩着せがましい。
話とは言ってもほぼほぼ愚痴のようなもので、私はただそれに相槌を時折打つだけ。
「……そんでさ、ムカついたからオレ、思いっきり鼻蹴り上げて、骨折っちまった♡」
「・・・」
そこまで良い笑顔で鼻骨折ったことを話す奴初めて見た。鼻を折られた名も知らぬ誰かさん、ご愁傷様です。あの世でもご冥福をお祈り申し上げます。
いくらその相手が悪かったとしても、そういうことするのはどうかと思う。胸糞悪い話だなぁと、苦々しい気分になった。だから、
「すげぇだろ?オレ」
「……別に、」
褒めて褒めてとでも言わんばかりの表情に、思わずそう返してしまっていた。
「!」
彼は、私が喋ったことと、否定的な言葉を吐いたことに驚いたみたいで。それには構わず続けた。
「人を傷つけることが『凄い』ことだとは思わないし、それを凄いと思ってるあなたも凄く滑稽だと思う。私はあなたを、理解してあげられない」
自分でも驚くほどスラスラと言葉が飛び出した。怒りが口の動きを滑らかにしてくれたんだろう。私の声は、自分でもゾッとするほど温度がなかった。
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時