Episode10 ページ12
「あの、何か……手伝い、」
「あー、別にいいよ、客なんだからゆっくりしてろ」
キャスケット越しに頭を軽くポンポンされて、少しだけくすぐったい気分に。
お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな、と、始めて千冬以外の異性を好ましく思った。
「……でも強いて言うなら、ルナとマナと遊んでくれたら、すっげえ助かる」
「・・・」
コミュ能壊滅的な私に、かなり責任重大な任務を与えてくれたものだ。
「何か嫌いなもんある?」
「いえ、特に」
「ん、おっけ」
小さく笑って頷いて、夕食の準備をし始める三ツ谷君。その手際の良さに、ちょっとびっくりした。
「あの、何でここまで、」
なんでこんなに良くしてくれるのか、謎だった。私の質問に、三ツ谷君はこっちを見ないまま答える。
「んー、なんか守ってやりたくなるから」
「え゛?」
「変な意味じゃなくて、普通に。……こう、ほっとけないっつうか、」
私みたいな見た目不審者にまで母性(?)を発揮してくれるなんて、三ツ谷君ってホントにいい人だな。胸にジーンとくるものを感じつつも、妹さんたちのところへ向かう。
「Aちゃん、これであそぼ」
「Aちゃん、これ読んで」
――――十数分後、彼女達にすっかり懐かれてしまった私がいた。
いや、ホントに何回も言うけど、コミュ能終わってて、万年ヒッキーである上に、見た目完璧不審者の私にここまで懐くとは思わなかった。
言われるがまま行動していくうちに、私もぽつぽつと言葉を話すようになって。絵本を読んであげるくらいは辛うじてできるくらいにはなった。しかし――――
「ねえねえ、Aちゃんってどんなお顔?ルナ、見てみたい」
「マナも!」
……幼い子達だし、必然的にこういう話の流れになるんじゃないかなと薄々感じてたけどさ。
特にルナちゃんは、私の素顔に、並々ならぬ興味を抱いていたみたいで。公園から。
「いや、あの、これには事情が…」
「見たい!見たい!」
「マナもマナも!!」
二人の熱心なコールに、とうとう私も折れてしまって。
「…ちょっとだけ、だからね」
「「うん!!」」
「ホントのホントに、ちょっとだけ」
何度も念押しをして、ゆっくりと帽子とマスク、最後に眼鏡をはずす。
「…うわぁ」
「―――――え、」
ルナちゃんマナちゃんの歓声とともに、ほかの誰かの戸惑うような声が聞こえて。
思わず振り返って、そのまま固まった。
2554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時