Episode09 ページ11
家の鍵を家に忘れた。
私の両親はどちらも働いており、帰ってくるのは二人共夜遅く。ゆえに私は、常に家の鍵を持っているんだけども、今日は寝坊してすっかり忘れてしまった。
…イコール、締め出し食らってしまったわけで。両親のどちらかが帰ってくるまで、どこかで時間を潰さなきゃいけない。
千冬の家も尋ねてみたけど、誰もいなかった。図書館行ったけど、閉館日だった。泣いた。
「……どうしよ」
公園のブランコに揺られて、足をぶらぶらさせながら考えていた時、突然目の前にコロコロと転がってくるボールが。思わず拾えば、可愛らしい小学生くらいの女の子が駆けてくる。
「…」
「ありがとー」
――――いくら可愛らしくても、私のコミュニケーション能力は常に平常運転っぽかった。
無言でボールを手渡しても、何故かその場を動かない女の子。
…え、何、何でそんなじっと見つめて来るんだ!?確かに私の恰好不審者っぽくて珍しいのかもしれんけど、そうだったら尚更近寄ったらあかんやつやん!!
「何してんだルナ!――どうもすみません、俺の妹が………って、お前、」
後から慌ててやってきた、この子のお兄さんらしき人物。何となく見覚えあるような…?と思っていたら、向こうもどうやらそうだったみたいで。
「――思い出した。この前の集会で、マイキーに追い掛け回されてた奴だろ?マジであれは災難だったな」
そっか、この銀髪の人も、あの暴走族の一員なわけか。……それにしては随分家庭的なお兄ちゃんに見えますけども。
「――で、何でこんなとこに一人でいるんだ?」
「鍵、忘れて、締め出し」
黙ってるのも流石に失礼すぎると思ったので、片言程度に単語を言って、理解してもらおうと試みる。
私の稚拙な説明でも、分かってくれたっぽかった。そして、
「……なら、うちの家来るか?かなり散らかってっけど」
え、初対面に近い人間すぐ家に招く?とか思ったけど、提案自体はありがたいので小さくこくん、と頷いた。
シングルマザーなんだとか。家事をこなす三ツ谷君(さっき聞いた)は、素直に尊敬できる。家もちゃんと掃除されてて綺麗だし。若干おもちゃ転がってたけど。
「夕食食ってくだろ?ちょっと待ってろ、今から作る」
何から何まで申し訳ない。
2554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時