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「……A」
「なに、どうしたの、万次郎」
「これからもずっと、傍にいてくれるか？」
「いるよ。万次郎が嫌がったって、引っ付き虫みたいにずっと一緒にいる」
「嫌がったりなんかしねぇよ。ずっと愛してる」
「ありがとう、私も愛してる」
私の膝に頭を載せて、不安そうに眉を寄せる彼の髪を、そっとあやすように撫でる。
毎日交わされる、同じようなやり取りだけれど、億劫に思ったことは一度もない。むしろ言葉を交わす度に、彼への愛しさは増すばかり。
「……オレのせいで、Aは全部失った。仕事も、友人も、帰る家も、両親も」
「失ったって……別に物理的に無くなった訳じゃないんだから」
彼らを思わない日はない。申し訳ないと、心の底からそう思っている。―――でも、後悔はしない。
「私には、万次郎さえいてくれればそれでいいよ」
「……っ」
そっと囁けば、ピクリと反応して、体を起こす万次郎。
端正な顔が近付き、そのまま柔らかな唇がそっと重ねられて、熱い舌が入り込んでくる。クラクラするほど甘く、蕩けるほど深い口付けに、身を委ねてしまう。
「……そうだな。Aには、オレさえいればそれでいい。Aはオレのモンだ。オレしか見るな。オレのことだけ考えてろ」
彼らしい、傲慢な発言。それすらも、可愛いと思えてしまう。
「これからもずっとオレの隣にいて、――――最後は、オレよりも先に、死んでくれ」
「！」
想像していなかった言葉に、少し驚いて、やがて笑いがこみあげてくる。
「そこは普通、『オレよりも長生きしてくれ』っていう所なんじゃないの？」
「―――俺の知らないAが存在するなんて、耐えられねぇよ。お前の人生全部見届けた後、オレもすぐに死ぬ」
「……もう、愛され過ぎて困っちゃうな」
この身一つで受け止めきれないほど、深くて重い愛。それでも、幸せだと思ってしまう私もきっと、どうかしている。
――――それでいい。それが良い。これからもずっと、私達は、二人で一つなのだから。
End 万次郎 fin.
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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです！みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (
レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。！ありがとうございます！！ (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません！完結おめでとうございます！ (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか？あと最っっっっっっ高です！ (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月25日 14時
