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■___side 万次郎
ふわふわと、温かな空間を漂っているような、そんな心地がする。
意識ははっきりし始めているけれど、もう少しこのまま、微睡に浸っていたい気がした。
だがしかしそれも、差し込んでくる陽光によって阻止されて。
寝返りを打ち、うっすらと目を開ければ、人形のように綺麗な顔と目が合った。
きっとこの、頭の下の極上の感触は、Aの太もも。飼い主に甘える子猫のように、じゃれて頬をすり寄せれば、耳を軽く引っ張られる。
「起きなさい、もうお昼だよ」
「―――んん、A」
「わふっ、ちょっ…」
腰に抱きつきそのまま押し倒せば、慌てて体を起こそうとする彼女だが………そんなことをさせるはずもなく。
「…お腹すいた」
「ご飯食べたいんだったら、今すぐそこをどいて…」
「Aを食べたい」
「さすがにそれは倫理的に無理」
自分の言った言葉を実践するように、喋っている内容に関しては放っておき、その首筋に軽く歯を立てる。
「っ!」
ピクリと可愛らしく反応するAは、更に愛くるしいことに、耳まで赤く染めていて。
透けるほど白く、陶器のように滑らかな肌。この肌に触れた男は1人もいないのだと、自分だけなのだと考えると、一層恍惚とした気分になる。
ずっと残るような自分の跡を付けたくて、その肌に吸い付いて赤い華を咲かせようとして、
「いい加減にしろ、バカ!!!!!」
――――殴られた。
後から話を聞けば、自分は13時間も眠りこけていたのだとか。そんな長い時間、彼女を拘束してしまったことに対する罪悪感と、僅かな優越感。
「何か久しぶりによく眠れた、ありがとな」
「どういたしまして」
軽く微笑を浮かべたAにまた胸が高鳴る。ツヤツヤの亜麻色の髪にそっと触れれば、驚くほど抵抗を受けずに指を通せて。
庇護欲と破壊衝動を同時に揺さぶる儚げな容姿を前に、
「―――誰にも渡さねぇ」
そう、誰にも聞こえない声で、小さく呟いたのだった。
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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです!みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。!ありがとうございます!! (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません!完結おめでとうございます! (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか?あと最っっっっっっ高です! (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月25日 14時