＿＿＿16 ページ22
「いや、いやいやいや、何してんの？」
「は？先に誘ったのはAだろ？寝ようってつまり、しようってことだろ？」
思考回路がわけわかめ。いつ私が誘った。純粋に彼の睡眠時間を不安に思っただけなんですけど。
服のボタンに手をかけ始める万次郎を慌てて押し返せば、不機嫌な顔をして万次郎は動作を止める。
「今更何恥ずかしがってんだよ、初めてなわけじゃあるまいし」
「―――」
……今度は、私が動きを止める番だった。そんな私を見て、万次郎は大きく目を見開く。
「…え、まさか、したことねぇの？」
「お、お付き合いなら、一回だけしたことあるけど、でも恋人というよりは仲のいい友人みたいな感じで、キスも、しなくて…」
「はぁ！？オマエ、処女なの！？…今何歳？」
「ハイハイどうせ私は、24にもなって男性経験1度もない間抜け女ですよーだ。仕方ないでしょ、勉強忙しかったの！恋愛よりもオペするほうが好きなの！私は仕事と結婚するんだ」
言ってるうちに虚しくなってきて、思わず近くにあった枕に顔を押し付ければ、
「ごめんごめん、」と謝る声がした。
「A、美人だしモテそうだったから意外だったんだよ。…そうか、A、処女なのか」
「何でそんな嬉しそうなの！？私が間抜けで嬉しい！？人の不幸は蜜の味ってやつ！？」
…あと、その言葉を連呼するんじゃない。気恥ずかしいでしょうが。
「A、膝枕して」
「え゛」
急に甘えんぼモードに入ったぞこの人。
「お前がしてくれたら、寝れる気がする」
「…分かったよ」
膝枕態勢を整えれば、いそいそとどこか嬉しそうに頭を載せる万次郎。柔らけぇ、とか言いながら頬を緩ませて。
その頭をそっと撫で始めれば、「あの時みたいだな」なんて呟いて、ぽつぽつと話をし始めた。私が今ここにいる理由も、万次郎がどんなことをしているのかも、全部。
私は黙って、それを聞いているだけ。時折、相槌をうちながら。
「A、勝手にどこにも行くなよ」
「行かないよ。私がこうしてないと、眠れないんでしょ？」
「A、オレのこと、嫌いになったか？」
「なってないよ」
そんなやり取りを何回か繰り返して。私の手を、どこにも逃がさないというようにギュッと握りしめたまま、いつの間にか万次郎は、すやすやと寝息を立て始めていた。
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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです！みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (
レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。！ありがとうございます！！ (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません！完結おめでとうございます！ (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか？あと最っっっっっっ高です！ (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月25日 14時
