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(あー…、Aさん、可愛い)
横に座るAの顔に、食べることも忘れてじぃっと魅入る。



亜麻色のサラサラストレートヘアは、編み込みを入れたハーフアップにまとめられていて。
長い睫毛に縁取られた大きなカラメル色の瞳が輝き、雪原のように白く透き通る肌が、興奮で林檎色に染まる。


白いオフショルニットにロングスカートという格好も、どことなく甘い雰囲気を漂わせていた。


ニキビやくすみ一つない肌。これだけの美貌を保つためには、いったいどれほどの手間と時間が必要なんだろうか、とぼんやり考える。





と、

「ん?」

あまりに熱心に見つめすぎていたせいか、Aがこちらの視線に気付いた。

「いやっ、あのっ…」

バレてしまったことが恥ずかしく、焦ったように視線を泳がせてしまう。




「あ、千冬、苺ソースついてるよ」

「へっ!?」

自分の手の甲で拭おうとする前に、彼女の白く繊細な指先が伸びてくる。ピシッと固まる自分をよそに、そのままその指は口の端に付いていた苺のソースをぬぐい取った。




(はっ!?これはもしや、そのまま自分の口元にもっていくという、あのドキドキシチュエーションなのか!?)


胸キュン漫画ではあるあるの、あの展開になるのかと、期待と恐れがまじりあった感情でAの一挙一動を見つめる。


が、しかし、その後の展開は、千冬の予想の斜め上を行くものだった。


「はい、」

「!?」

何と彼女はその指先を、直接千冬の口元まで持ってきた。…つまり、指先についている苺ソースを、舐めろと。


「?」

動かない千冬を見て、Aが不思議そうに首をかしげる。無意識でこんなことをしているんだろう。他意はないはず。


フリーズした千冬を見てもう一度首を傾げ、そのまま彼女が引っ込めようとした手首を、思わず条件反射的につかんで引き留めていた。―――そのまま、彼女の白い指先についた赤いソースをペロリと舐めとる。もちろんその時、舌先が彼女の指に触れたのは、言うまでもない。



手首を開放されたAはちょっと訝しそうにした後、軽く微笑んで自分の目の前のケーキを食べ始めようとした。



「……Aさんだって付いてます、ラズベリーソース」

「え、ホント?」

「はい」


自分はこんなにドキドキしたのに、Aは平気そうな顔をしているのは気に食わない。少しぐらい意趣返ししたって、許されるのではないか。

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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです!みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。!ありがとうございます!! (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません!完結おめでとうございます! (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか?あと最っっっっっっ高です! (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月25日 14時

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