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高校生になってからは、大学受験に向けて更に勉強漬けの日々で。皆と一緒に遊んだりする機会も極端に減った。
時折隆や千冬と電話をしたり、ヒナちゃんと遊んだり。
――――万次郎とは会わなくなった。ある日突然、“もう俺に関わるな”と拒絶されて。
最初のころは理由が分からなくて、何度も電話をかけたりしていたと思う。…それもいつの間にか、忙しさの中に埋もれてしまっていた。
大学は、お母さんの実家がある関西の、国公立大学の医学部に進学して。
東京の皆とは疎遠になっていたけれど、国家試験に合格し、私はまた、東京に戻ってきていた。いずれは家の医院を継ごうと思っているし。
私はもうすぐ、24歳になろうとしていた。
とある薄暗い建物の中で。モグモグとたい焼きを頬張る男の前に現れる、口元の傷が印象的な男。
「マイキー、これがその、“例の女”の写真〜」
「―――」
手渡された写真を取って、しげしげと見つめる。そこには、月日がたってもなお、変わらないどころかより洗練された美貌を誇る、女性の姿が映り込んでいて。
「…。―――連れて来い。かすり傷でも付けたら殺す」
「!…りょーかい」
ニヤリと笑ってその場を立ち去る彼を見送って。
「…A」
―――ただ一人、その唇から零れだす名前があった。
「うわー、すっごい遅くなっちゃった」
今働いている場所には、実家から通っている。一人暮らしとかヤダ。料理も洗濯も、っていうか家事全般別に苦手ではないけど、一人暮らしはやっぱりちょっと怖い。…断じてお母さんと離れたくないからだとか、そんなマザコンみたいな理由ではないのだ。無いったらない。
「ホント、大学病院で働くのって大変」
早く私も、お父さんとお母さんと一緒の場所で働きたい。夜ごはんはもう食べたので、家に帰ったらお風呂に入って寝るだけ。
―――それにしても暗いな。でも、隆や千冬に送ってもらうのも申し訳なさ過ぎて無理。仕事が遅くなった時は、遠慮なく頼ってくれと言われたけど。
夜道には気をつけなさい、と両親にも口を酸っぱくして言われているし、早く帰ろっと。
久し振りに、白餡の苺大福食べたいな。
「―――見ーつけた♡」
…苺大福に気を取られていた私は、後ろからそっと忍び寄る車の存在に、全く気が付いていなかった。
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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです!みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。!ありがとうございます!! (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません!完結おめでとうございます! (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか?あと最っっっっっっ高です! (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月25日 14時