＿＿＿06 ページ6
「小さい頃の約束、覚えてるか？」
「え…」
「王様と騎士はどんな時でも一緒だって」
そんなことを、言った気がする。確かに、言った。
イザナが王で、私が騎士で。勝手にファンタジーの世界にするなと、そう言って彼は怒った。
「―――ごめんね、約束、守れなくて」
「……」
静かにそう口に出せば、何故かイザナはそのまま黙り込んでしまう。しばらくして、さっきまでの黒いオーラはどこへ行ったのかと疑うほど、満面の笑みを浮かべた。
「いいよ。何年かぶりに再会して、すげぇ綺麗になったAのこと見れて、ちょっと嬉しかったし。この後少し俺に付き合ってくれたら許す」
「そんなことで良ければ」
腕を組んで歩き始める。ちゃんと私の歩幅に合わせてくれているのが分かって、人知れず笑みが零れた。
「今の俺には、下僕もいるんだぜ」
「下僕！？何それ、可哀想っ！？」
「ん？別に無理矢理じゃねーし。あいつも自分の立場ちゃんと弁えてるし」
「無理強いしないあたりが逆に暴君感出てて怖いわ。それくらい慕ってくれてる子、私だったら絶対可愛がるけどなー」
思い浮かべるのは勿論千冬。AさんAさん！＿＿とついてきてくれる千冬の姿が浮かび上がって、思わずにやけそうになるのを何とかこらえた。
そんな私の表情を見て、何か察したんだろうか。
「…お前にもいんの？そういう奴」
「まぁね。でも、ザナみたいに、酷い扱いはしてないよ？目に入れても痛くないくらいに愛でまくってる」
「…ふーん、血の繋がりもねぇのに？」
イザナのその質問の意図がよく分からず、思わず眉を顰めてしまう。
「―――血の繋がりとか、関係なくない？私は大切だと思う人を大切にして、好ましいと思う人を好きになって、愛しいと思う人を可愛がりたい。そこに血の繋がりもなにも、関係ないと思う」
「―――！」
私の答えに、目を丸くさせるイザナ。…あれ、何かおかしなこと言った？私。
「―――じゃあさ、お前にとって全く赤の他人の俺でも、お前は可愛がってくれんのか？」
ふざけるような、どこか揶揄うような口調。きっと冗談のつもりで言ったんだろうけど。
私も負けじと、輝くばかりの笑顔をイザナに向ける。
「もちろんだよ。私が愛でたいと思う対象には、年齢も、性別も、もちろん血の繋がりも、関係ありませんから？」
――――今度こそイザナは、本当に黙り込んでしまった。
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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです！みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (
レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。！ありがとうございます！！ (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません！完結おめでとうございます！ (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか？あと最っっっっっっ高です！ (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月25日 14時
