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心のどこかで、噓であってほしいと、そう望んでいたけれど。
霊安室に横たわるエマちゃんの姿に、そんな淡い期待はいともたやすく奪い去られてしまう。




瞼を閉じたエマちゃんは、ただ、眠っているだけのようにも見えた。
それが、永遠に目覚めることのない眠りであったとしても。





「噓だ、こんなの噓、だってそんなこと、」

眼前の悪夢を拒絶するように頭を振れば、涙がボロボロと零れ落ちていく。
ヒナちゃんも、顔をぐしゃぐしゃにして、泣いていて。



そんな彼女にタケちゃんが何かを言い、その言葉にヒナちゃんが驚いている。
タケちゃんは、そのまま病院を出て、どこかへ行ってしまったようだった。






万次郎も、ドラケン君も、絶望に満ちた顔をしていて。
――――エマちゃんの肌は、ぞっとするほど冷たくて。肉体は今でもここにあるけれど、一番大事な何かが失われてしまったのだと、はっきり分かってしまった。








……ふと顔を上げれば、ヒナちゃんが、ゆっくりと万次郎たちの元へ向かっていくところだった。



タケちゃんは、エマちゃんを、皆を救えたはずだと思っているのだと、そう言った。
ヒナちゃんが何を言いたいのかが分からなくて、思わず壁から身を乗り出してしまう。そして、


「……私、死ぬんです」


「12年後死ぬんです」


「タケミチ君、それを止めるために未来からやってきたんです」



余りにも荒唐無稽で、信じられないような話。けれども本当なのだと、ヒナちゃんは言った。
そんな彼の為に自分は何もしてあげられないと、そう言ってヒナちゃんは泣いた。



気が付けば私も、ゆっくりと、彼らの方に向かって歩いていた――――







そして今、万次郎、ドラケン君、ヒナちゃん、私の4人は天竺との決戦の場所に来ていた。
ヒナちゃんはドラケン君に、私は万次郎の後ろに乗せてもらって。



皆ボロボロだった。いつもの万次郎の様子に皆が沸き立つ中、私はただ一人、じっとこちらを見つめるイザナから、目を離すことができなかった。



「……ザナ」

「―――そっちから来てくれたんだな、A」









☆オチに関してですが、3人のバージョンを書こうと思います!!
温かなコメント、本当に励みになりますありがとうございます!

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ミツキmitsuki(プロフ) - さいっこうに面白かったです!みんなの特徴を捉えてて、本当にすごい… (12月30日 14時) (レス) @page44 id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 三ツ谷君かっこよすぎです。。。。。この作品に出会えてめちゃくちゃ幸せです。。。!ありがとうございます!! (12月28日 1時) (レス) @page44 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 隆が男前すぎてキュンキュンが止まりません!完結おめでとうございます! (7月8日 9時) (レス) @page44 id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - ドラケンがいない気がするけど気のせいでございましょうか?あと最っっっっっっ高です! (2022年9月9日 18時) (レス) @page44 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - この小説大好きすぎます。大好きです。消さないでください。 (2021年12月31日 9時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月25日 14時

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