それぞれの道

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〜2017年 現在〜



――――数か月前から、私の恋人である、三ツ谷隆が行方不明になっている。






ある日突然、忽然と姿を消し、それ以来ずっと一人で探し続けているけれど、隆のことはおろか、その手掛かりすら掴むことができていない。





…でも、諦めるつもりは一切ない。たとえこの先、何か月、何年、何十年かかったとしても、絶対に見つけ出してみせる。連絡が取れなくなったあの日、そう心に誓った。





隆を探すうえで重要となってくる組織、東京卍會。
日本最大最凶の極悪犯罪組織であり、警察ですらその尻尾を掴むことができていないという。





隆はその幹部だった。彼の失踪には、絶対にこの組織が関係しているはず。虎穴に入らずんば虎子を得ずというのは本当で、だから私は組織の内側の人間と組んで、隆を探し出そうと思った。






かと言って、東卍の中に私に協力してくれる人間がいるのかというのは大きな問題点だった。タケちゃんも幹部らしいけど、連絡先知らないし。





―――今日私は、ある人物と待ち合わせしている。その、ある人物というのが、東卍内部の私の協力者(に、なってもらう予定)。




「どうしよ、あと五分しかないや。どこにいるんだろう」




待ち合わせ場所の指定が広すぎて、全くもってどの人がお目当ての人物なのかが分からない。困った。





「…もしかして、あれかな？」





不安そうに腕時計を見る彼。今とは身長も髪色も全然違うけど、雰囲気は全く一緒。
間違えてたら恥ずかしいけど、間違えようがないほどに彼は彼だ。後ろから近づいて、そっとその肩を叩く。



「……千冬(・・)で、合ってる？」

「！―――ハイ、Aさん！！」


――――彼、松野千冬は、相変わらずの子犬のような笑顔で、そう答えた。

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