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Aがぐっすり眠っているのをいいことに、「やべぇ、もちもち」とか言いながらベタベタ触りまくる兄、蘭。



「もう触んな」

「え〜」


自分も触りたいけれど控えていた竜胆としては面白くない。兄の手を無理矢理どかすと、今度は自分が、彼女の頬をふにふにと可愛がるように触り始める。


とその時、「んぅ…」と掠れたような甘い声がAの口から洩れる。
「ヤベ、」と指を離す間もないまま、ゆっくりと瞼が開かれて。



焦点のぶれた、濡れたカラメル色の瞳が、竜胆…詳しくは竜胆の方向を向いた。
どうやらまだ、寝ぼけているみたいで。



ふやけたようなその表情はいつもよりあどけなさと幼さの方が強く、クールな表情ばかり見せられていた竜胆としては、そのギャップに声を詰まらせるのみ。





そっと指を離そうとすれば、「行かないで」とでも言わんばかりにその指に頬を摺り寄せられる。まどろみつつも、甘える子猫のように愛くるしい仕草をされて、ときめかない人間が存在するだろうか。




「………竜胆、これはもうオーケーってことで良くね?」

「……」


このままそっと眺めるにとどめておくか、兄の言うとおりに、“そういう合図”だと思ってことを始めるか。



…かなり後者に気持ちが偏りつつあるのは、否めない。
理性と必死に戦っていたその時、不意にパチン、とAの目が開いた。









――え?ここ、どこ?
起きたら見慣れない場所にいて、見慣れた兄弟が私のことをガン見していた。これほど怖い状況はないんじゃないかと思う。



「え、え、ええ!?ここどこ?何で??」
\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?までとはいかないものの、かなりそれに近い。



パニック状態に陥る私に、慌てたように灰谷兄弟弟が事情を説明し始めた。
…ふむふむ。私が途中で寝落ちしてしまったと。だからといって、自宅に運ぶという選択肢が浮かび上がるのはよく分からんけど。―――まあとりあえず。



「お世話になりました、さよなら!」

「え、」

「は、ちょ」



逃げた。私の家と変わらないぐらいかそれより少し小さい家だったけれども、何とか出口見つけて全速力で逃げた。









「あーあ、あともう少しだったのになー」

「どう考えても兄貴のせいだろ」

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- え、これって駿台模試の英文ですか!? (2022年5月22日 13時) (レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます! (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない!各々のエンド作って欲しいです(土下座(願望なだけなのでご無理はなさらなず) (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月3日 9時

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