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「それじゃ、約束、な?」
「ハイ」
有無を言わせぬ感じで、至近距離で微笑まれて、断れるわけがなかった。
…まあいっか。隆とお出掛けするのは嫌じゃないし。クリスマス、特に予定ないし。
「そんで…桜井、話っていうのは?」
「え、ああ…えっと」
さっきまで固まってたひよりちゃんが、ようやく口を動かす…けど、何を言おうとしたのか忘れてしまったような感じだった。
――――すいません、それ私が100%悪いですよね。ということで、私はここで華麗におさらばさせて頂こうかと。っていうか隆、ひよりちゃんのことまだ名字で呼んでたのか。
ひよりちゃんが隆のこと名字で呼んでるから、てっきり隆も名前で呼んでるのかと。
そんなことを思いつつ、右手をそっと隆の左手からすり抜けさせようとして、
「だから、すぐ離れようとすんなって」
直前に感づかれて阻止された。具体的に言うと、ギュッと力を込めて握られた。…チ、ばれたか。まったく、勘のいい奴。
勘が良いならさ、私の気持ちも敏感に感じ取ってほしい。隆に恋をしている女の子の前で、その隆本人が他の女の子の手を握るって、それは握られてる私の方が居たたまれないんだよ。
ひよりちゃんの話に答えながら、死んだ目で歩き続ける私の表情を見て、隆はフッと口角を上げる。…この隠れSめ。隆って偶にこういうとこあるよな。私が困ったようにあたふたしてたり、ちょっと泣きそうになってたりするのを見ると、少し楽しそうに笑うのだ。
何て奴!…まあ、結局は助けてくれる辺り、彼の心根が優しいことを表してるのかもしれんけど。でも、人の不幸を笑うのは許せん。許せん。(2回)
――――場の空気を察したり、人の気持ちを汲み取るのが得意な三ツ谷が、ひよりに寄せられている好意に気付かない訳がない。
気付いて、分かったうえでのあえての、だからこその行動。
…暗に、自分には好きな人がいるのだと、ひよりの想いには応えられないという無言の返答。
A以外の女子を、あまり下の名前で呼び捨てしないのもそのため。
こうやって彼女とスキンシップをとるのは、他の男への威嚇にもなるし、単純にAと触れ合えることが嬉しかったりして、一石二鳥だからやめられない。
(最も、肝心のAは、あと一歩のトコで振り向いてくんねぇけどな)
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ま - え、これって駿台模試の英文ですか!? (2022年5月22日 13時) (レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます! (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない!各々のエンド作って欲しいです(土下座(願望なだけなのでご無理はなさらなず) (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月3日 9時