それぞれ2 ページ2
その白く滑らかな雪肌に触れれば確かに、傷跡なんてあったのかすら分からないほどだった。そのことにひとまず、ほっとするけれど。
「ね？ダイジョブだったでしょ？…隆は何も悪くないんだから、気にする必要ないよ」
安心させようとするその笑顔に、喉が詰まった。
「A、俺さ、誓うから。…これから一生かけてAのこと守るって、約束するから」
―――気が付けばそんな言葉が、口をついて飛び出していた。
「……ぇ」
「…っ、ゴメン、変なこと言った」
目の前のAが呆気にとられたように目を丸くし、己の発言を思い返して三ツ谷は自分の顔が、段々と火照ってくるのが分かった。
自分は今何を言った？一生かけて守る？――そんなのまるで、
「…それって、プロポーズ的な？」
考えていたことを、ズバリと言い当てられて。人知れず脱力した後、もう開き直ることにした。今更取り繕っても遅い。
「…ああ。プロポーズみたいなもんだよ」
「フフ、何それ」
予想と異なり、Aはちょっと困ったような、呆れたような顔で微笑んだだけだった。幻滅されなかったことに安堵し、Aの言動一つで滑稽なほど揺らぐ自分の感情を再認識して、ああ、好きなんだなとしみじみと感じる。
「そっか。…でも、ありがとね」
「―――っ！？」
その時のAの微笑みを、これから先、決して忘れることはないだろう。
例えるなら、まるでチョコレートと蜂蜜を溶かし合わせたような、とろける程に甘い微笑み。いつものどんな笑い方とも違う、心臓を直接鷲掴みにされるような、そんな表情。
自分だけに向けられた特別なものなのだという少しの優越感と、誰にもこんな表情を見せたくないというわずかな独占欲。
少しぐらいは恋心も混ざっているんじゃないかと、淡い期待を抱いてしまいそうで。
―――Aが好きだ。世界で一番、この世の誰よりもAが好きだ。ほかの誰よりもAに恋をしていると、今ならはっきり言い切れる。
Aと言葉を交わしたい。Aと笑いあいたい。Aに触れたい。
そんな欲望がぐるぐると渦を巻き、それはやがて抑えようのない大きな波となる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2795人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ま - え、これって駿台模試の英文ですか！？ (2022年5月22日 13時) (
レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます！ (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない！各々のエンド作って欲しいです（土下座（願望なだけなのでご無理はなさらなず） (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月3日 9時
