たらたら21 ページ22
「マイキー、離してやれ」
痛みに苦悶の表情を浮かべる私に救いの手を差し伸べたのは、またもや隆。もう、女神にしか見えん。ってか私の周り女神と天使多すぎ。天国かよ。
珍しく隆が怖い顔してる。んでもって万次郎とにらみ合ってる。
「Aは、オレの…オレの、」
「お前のモンじゃねえよ、マイキー。Aは誰のモンでもない」
万次郎がぼそぼそ呟けば、静かに諭すような口調で隆がそう言う。…ややあって、ゆっくりと私の左手首が解放された。…うわっ、クッキリ痣ついてるよ、ホラーじゃん。
「A、行こう」
「え、あ、うん」
グイっと繋がれた手を引かれたので、言われた通りについていく。…項垂れたままの万次郎が、少し気になったけど。
「…雨、降ってきたな」
「ふおおおおお―」
「全然やまねえし」
「おおおおおおおおお」
「……なぁ、さっきから何やってんの?」
食べたいものを全部食べて、「苺あめ最高!ビバ・お祭り!!」とご満悦の様子だったA。雨が降ってきた為、大きな木の下で雨宿りをしているわけだが。
目を瞑り、奇声をあげながら、どっかから電波でも受信してるのか?と言いたくなるような手の動きで、さっきからおかしな行動を取っているA。
「送ってるんだよ」
「…何を?電波か?」
「違うわ、念力だよ。時間がゆっくり進みますようにって、念を送ってるんだよ」
失敬な、とでも言わんばかりの言い方だったけれど、どちらにしろ傍から見ればヤベー奴であることには変わりない。それでも、なぜそんなことをするのか、少し気になって。
「…へぇ、何で?」
「そ、そりゃ…、お祭り、終わってほしくないし。帰るのやだもん、もっと隆と一緒に居たいし、遊びたい」
「!」
途端にもじもじとして、俯きがちにぼそぼそと喋りだすA。きっとその言葉に、恋愛的な深い意味は、含まれていないんだろうけど。
「へへ、まあ実際時間の流れは変えられんけどね。藁にもすがる思いで念力送ってみたけど、無理だったわ、うん。…でもいいや、こうやって雨上がりを待ってる時間も楽しいし。それだけで十分幸せだ、私」
そう言って、はにかむように微笑むAの顔を見た時、自分の中の何かが、プツン、と切れた音がした。
「―――…」
――――気が付けば、嚙みつくように、彼女の唇を奪っていた。
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キャラメルシュガー(プロフ) - まって..wwこのお話面白すぎて夜中なのに爆笑してしまったwww作者さん神‼️ (2022年8月18日 0時) (レス) @page18 id: 9b02bb5cbf (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - 全部千冬が引き継ぎます!! (2021年9月3日 10時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - あとなんか知らんけどバジリスクが4ぬとこめちゃ冷静でした丸 思い言え無くて残念だったねバジリスク…君の無念はきっと千冬が果たしてくれるよ多分! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - なのはさん» なんか壮大なストーリーが始まる予感…っ!! (2021年9月3日 9時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雨降り星さん» そう…これが…黒い衝動の始まりだった…(((おやめなさい (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年8月21日 0時