たらたら20 ページ21
今度は私が、万次郎に流し目を送る番。唇の端を吊り上げて挑発的に微笑めば、呆気に取られていた万次郎はムッとした顔になり、ズカズカと大股でこっちに向かってくる。
「A、どっちが先にあの特等の的に当てられるか勝負な」
「上等だよ。負けた方が勝った方の言うことを一つ聞く、とかどう?」
そう提案すれば、途端に爛々と目を光らせる万次郎。その光り具合が、キラキラじゃなくて、ギラギラっていうのがちょっと怖い。否、かなり怖い。
…この人一体、何を命令するつもりなん?私は勿論苺大福オンリーなんだけどさ。
屋台のおじさんに、景品はいらないので勝負だけさせてくださいと言えば、快くOKしてくれた。
「どっちが勝っても」
「恨みっこ無しだからね」
――――結果は引き分けでした。いや、だってあの的、動くんだもん!止まってたらさ、私も楽勝だったんだけども。しかも超倒れにくい。屋台あるあるだけどさ。掠りはするんだけど、倒れん。
結局弾が尽きてしまったので、勝負は引き分けと言うことに。
「あーあ、苺大福…」
「それぐらいなら俺がまた買ってやるし、そう落ち込むなって。…ほら、これでも食っとけ」
隆優しい。優しすぎて裏があるんじゃないかと疑っちゃうよ逆にさ。取り敢えず、口元に持って来てくれたベビーカステラをパクっと食べる。うむ、おいしい。
「ふう、後は綿あめとかき氷とチョコバナナと苺あめか。…うん、楽しみ過ぎて涎が出そう」
「ハハ、ホント食い意地張ってんな、A」
「うるさいな。甘いものは正義なんだよ」
「わーったよ、ホラ、行こう?」
スッと自然に差し出された手を、ためらいなく取って握る。
隆の手って何か安心する。大きくて骨ばってるけど、指とかは細くて綺麗で、全体的にすべすべしてる。手芸が似合うよ。
そのまま歩き出したところで、突如として手首をつかまれた。誰ってそりゃ、万次郎に。
しかもそれだけじゃなく、こう、ギリギリと締め付けてくるんだよ。私の可愛い(笑)手首が潰される。
「――ちょ、痛いって、どしたの?」
「……」
「いだいだいだいだいっ!!今絶対1個潰れたよ、手首に流れてる静脈が1個潰れた!」
手首握りつぶされている上に更に、私が歩くのを阻止しようと腕を引っ張られてるから、なんかもうダメージが凄い。…あっ、痛い待って肩亜脱臼する肩亜脱臼する!!
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キャラメルシュガー(プロフ) - まって..wwこのお話面白すぎて夜中なのに爆笑してしまったwww作者さん神‼️ (2022年8月18日 0時) (レス) @page18 id: 9b02bb5cbf (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - 全部千冬が引き継ぎます!! (2021年9月3日 10時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - あとなんか知らんけどバジリスクが4ぬとこめちゃ冷静でした丸 思い言え無くて残念だったねバジリスク…君の無念はきっと千冬が果たしてくれるよ多分! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - なのはさん» なんか壮大なストーリーが始まる予感…っ!! (2021年9月3日 9時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雨降り星さん» そう…これが…黒い衝動の始まりだった…(((おやめなさい (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年8月21日 0時