Episode34 ページ35
◇___side 朱里
助けてもらったお礼を、この前は言えなかった感謝の気持ちを、ちゃんと言葉にしてAに伝えたかった。
だけれどもなかなかその機会は訪れなくて。
誰も佐倉Aの行動を読むことの出来る人間はいない。彼女はどこまでも神秘的で、自由だった。
「城山さんって、なんかムカつくよね〜」
「あ、それ分かる、なんか男子に媚びてる感じがして」
トイレの個室を出ようとして、偶然聞こえてきた言葉に息を詰める。恐らく、同じクラスの女子だと思う。
外に出ることができず、ただその場でじっとしていることしかできなくて。
「ちょっと可愛いからって、なんか調子に乗ってるよね」
「そういうのにすぐ騙されちゃう男子も男子だけど」
…クラスの女子から、よくない感情を向けられているのはなんとなく知っていた。
悪口を言われるのは日常茶飯事だし、大して気にも留めないけれど、こうして陰で言われていると知るのはやはり、精神的に来るものがある。
仕方がないと、いつも通りにそう割り切るしかないと、頭ではわかっているけれど。
「佐倉さんもそう思うよね?」
「…っ!?」
思ってもみなかった名前が突然出てきて、思わず体が反応してしまう。
彼女は一体なんて返すのだろう。酷いことを言われても仕方がないという覚悟は、ちゃんとある。それでも、彼女の口から自分を罵る言葉が出てくるのかもしれないと考えると、何故か無性に悲しかった。
「―――媚びてて、何がいけないの?」
「…はい?」
だからこそ、Aの言葉に、物凄く驚いた自分がいた。
「何が悪いって、そんなの…」
「朱里ちゃんは可愛いから、その武器を最大限利用するのは戦略的に悪いことではないと思うけど」
「何それ、」
淡々と言葉を吐くAに、女子たちがたじろいでいる気配が扉越しにも分かった。
ここからは喋っている彼女の顔を見ることは出来ない。できないけれど、どんな顔をしているのかは想像がつく。
――――きっと、あの感情が読み取れない、真顔をしているのだろうと。
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グラニー京子 - 面白かった! (2022年4月4日 14時) (レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…!番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません!…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです!! (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか?←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです! (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです!番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月13日 23時