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Episode28 ページ29

◆___side 万次郎






「…は、それは、別に、」

ドラケンの言葉に、自分でもびっくりするほどに動揺してしまったのが分かった。



そうだ。自分は何故こんなにもAのことが気になるのだろう。
二度と関わるなと口では言いつつも、気が付けば彼女を視線で追ってしまうのはいつも自分。





いつも何を考えているのかよく分からなくて、それがどうしようもなくもどかしくて。
そっけないようでいて、思わぬ時に意外な優しさを示してくれて。時折見せる、反則的なほどにあどけなく愛らしい微笑みが、たまらなく魅力的で。






妖精のように可憐で、どこかミステリアスな彼女に自分が恋をしていることは、もはや明らかだった。深層意識ではそう理解していたけれど、理性がそれを許さない。




自分が彼女に、ましてや誰かをイジメるような人間に恋をするだなんてありえないと、頑なにそう決めつける。





――――そのいじめ云々に関しても、薄々、違うのではないかと感じ始めているというのに。




「……別に。俺はただアイツが、もう二度と朱里に酷いことしないように監視してるだけだし。―――Aなんか、どうでもいい」






そう吐き捨てれば、ドラケンは小さくため息をついただけだった。









――――『物静かで、優しい人……かな』




ふと思い出したのは、随分前の、まだ朱里がこの学校にいなかった頃のことだった。
クラスの女子たちが集まって、どんな人がタイプかとはしゃぎあっていて。勿論Aは、その輪の中に入ろうとする素振りすらなく、一人で本を読んでいたが。






その中の女子の一人が聞いたのだ。―――佐倉さんは、どんなタイプの人が好き?と。
聞かれたことには答えるAは、物静かで優しい人が好きだと、そう言った。




女子たちは、すっかり興味を失ってしまったみたいだったけれど。






(アイツは、静かで、優しい奴なのか―――?)
どうしても思い浮かべてしまうのは、Aと一緒にいた青年。Aが唯一、心の底から信頼しているであろう人物。





脳裏にちらつくのは、彼とAが談笑している姿。
花の蕾が開くように、桜色の唇を綻ばせて優雅な微笑みを浮かべるA。普段は冷たく見える黒曜石の瞳が、柔らかな光を湛えていて。



その顔を思い出すたびに、あの青年に嫉妬と羨望を抱いてしまいそうになるのを、何とか抑えた。

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グラニー京子 - 面白かった! (2022年4月4日 14時) (レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…!番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません!…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです!! (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか?←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです! (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです!番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月13日 23時

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