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Episode26 ページ27

◇___side 朱里



「ふ〜、間に合った間に合った」

看板を頼りにトイレを探していたわけだが、何しろこの水族館、ものすごく広い故になかなかトイレが見つからない。


あともう少しで膀胱が破裂しそうだったので、本当に危機一髪だった。



方向感覚には自信がある方だったため、帰りはすんなりと元居た場所まで戻ってこれて。
――――そして、信じられない光景を目の当たりにすることになった。




売店の近くの、少し薄暗い場所。2人の男女が揉み合っており、それは紛れもないマイキーとAで。



遠くから見ればいちゃつくカップルに見えないこともなかったが、どう見てもそうではない、どこか不穏な空気が漂っているように感じられた。




――――そうして、考えるよりも先に体が動いてしまい、思わず割り込んでしまった訳だが。




「…ア?―――朱里か、何の用だ?」

「用っていうか、そのー…」


自分が入ってきても、マイキーはAを壁に押し付けることをやめようとする気配すらない。むしろ自分の方が威嚇されているようで。




気まずさに視線を逸らしたとき、濡れた黒曜石のような瞳と、目が合った。
助けて、と、言葉にせずとも、そう言っている気がした。




Aを助ける義理なんかない。自分にとって彼女は憎たらしい女だ。そう、思っていたはずだ。…はずだけれど。




滅多に表情を崩さない彼女のそんな表情に、心が揺らいだ自分がいた。




「そう‼ドラケン君が、マイキー君のこと、呼んでたよ!?」

「…チッ、ケンチンが?何の用で?」

「えーっと、その……たい焼き!激ウマたい焼き・水族館バージョンっていうのが売ってるらしいから、マイキー君にも食べてほしいって」

「―――。俺、行くわ」



しばらく黙り込んだ後、ゆっくりと腕の力を緩めて、最終的にマイキーはそう言った。
全部口から出まかせだ。噓はすぐばれるだろうけど、一時しのぎにでもなってくれるなら今はそれでいい。



彼の食い意地が張っていて良かったと、そう思った。



「い、いってらっしゃい!」
笑顔を取り繕って、手を振って。その背中が小さくなった頃、急に背中にポスンと重みがかかった。服をギュッと、掴まれてもいる。

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グラニー京子 - 面白かった! (2022年4月4日 14時) (レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…!番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません!…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです!! (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか?←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです! (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです!番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月13日 23時

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