Episode25 ページ26
小柄な少年の足では到底出せなさそうな鈍い音に、何故か店員さんがビクッとした。
え、修羅場？と困惑していらっしゃる。
「…何ソレ、俺のこと、名前を覚える価値すらない、どうでもいい男って言いてぇの？」
ニッコリと薄い微笑みを湛えてはいるものの、その額にはビキビキと青筋が浮かび上がっていた。
「お買い上げありがとうございましたーさよならー」
可愛い店員さんは、疾風の如くその場を立ち去ってしまった。なるほど、逃げ足も速いわけですね。
「今名前を憶えられていないっていうなら、そういうことにあたるのでは？…知らんけど」
「――」
私の言葉に鬼のような形相を浮かべたかと思いきや、凄まじい力で腕を掴まれ引っ張られて、そのままさっき彼が蹴った壁にガスン、と押し付けられた。
堅い壁にぶつかる衝撃と痛みに、ほんの少し顔を歪めれば、間髪入れずに彼の顔が鼻先がくっつきそうなまでに寄せられて、少しビックリする。
「テメェみてーな細っこいオンナ、ちょっと力込めただけでどうとでも出来ンだよ」
「…腕と肩と背中と肩甲骨と後頭部が痛い。手を離して」
「うっせェ、フザケた口利くオマエが全部悪い。……何ならここで、大勢のヤツが見てる前でお前のこと、立ったまま犯してやろーか？」
ふは、と掠れた笑い声を洩らすこの人。何も面白くない。言ってる言葉の意味もよく分からないし、理解不能。不能だけれど、目だけがやけにギラギラしていて不気味。
いとも容易く片腕だけで私を身動き不可能にして、もう片方で私の顎を鷲掴みにする。
かなり強くつかまれているから、痛い。痛いから、すぐに涙目になって涙が零れそうになって、唇を噛んで我慢した。
「ハハ、――いい顔」
嘲笑うように、コイツはそう言って、顎を掴んでいた手を下へ下へと下ろし始める。
鎖骨まで来た辺りで、さすがに悪寒がした。これは本気でやばいと、焦り始めたところで、
「はいちょっとスト――――っプ！ななな、君はいったい何してるのかな、マイキー君？」
その場に突如として割り込んできたあかりちゃんによって、そんな私の絶望は、終止符を打たれることとなった。
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グラニー京子 - 面白かった！ (2022年4月4日 14時) (
レス) @page38 id: 90faee3a30 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ふゆきさん» 朱里ちゃんそこまで気に入っていただけるなんて…！番外編、楽しそうなんですけどね… (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - わかめさん» 返信遅くなってすいません！…ええっ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです是非是非見てみたいです！！ (2021年12月30日 23時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - ももさん» ぐへへ、ほんとですか？←きも 愉快になっていただけたら嬉しいです！ (2021年12月30日 23時) (レス) @page37 id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき - 主人公ちゃんと朱里ちゃんの絡みが凄い好きです！番外編とかでみんなの日常編みたいなの作って欲しい… (2021年12月30日 9時) (レス) @page38 id: 0daf234829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年9月13日 23時
