同窓会の夜 Y.M ページ1
.
『同窓会の夜』 正門良規
.
正「なんで今日、会ってしもたんやろ」
薄暗いバーに2人
今にも壊れそうなその空気を、
あともう少しだけ味わっていたくて。
.
.
.
正門くんと会ったのは、実に7年ぶりだった。
成人式ぶりに行われた高校の同窓会。
久しぶりに会う友達や、懐かしい人たち。
全く変わってない人もいれば
変わりすぎてて分からない人もいた。
正門くんは、そのどちらでもなかった。
あの頃と何も変わらない正門くんの雰囲気ながら、
すらっとした黒いスーツを身に纏って
あの頃からは想像もつかない、
大人の男の人になっていた。
正門くんとは、高校3年生の春に
一度だけデートをしたことがある。
クラスは一緒になったことがなかったけれど
廊下ですれ違うたび、少し、うつむくような。
そんな存在の彼から卒業式の少し前、
デートのお誘いがあったのだ。
あの頃はまだお互い子供で
2人で会ってデートしたはいいものの
その後何も起こることはなかった。
少し離れたところで喋る彼を横目に、
話しかけることはなかった。
たまに遠くで聴こえる貴方の笑い声に
胸がぎゅっとなった。
あっという間にお開きになって
明日も仕事がある私は二次会に行くみんなを見送った。
よし、帰ろうと思って振り返ると
正「Aちゃん、…ですよね？」
そこにはふわっとした笑顔の彼。
「正門くん…」
正「やっぱりそうや。
ずっと見てて、そうやないかなって。」
「正門くんは二次会、いいの？」
正「んー。なんかやめてもうた」
「ふふ、何それ」
正「そういうAちゃんもそうやないの？」
「…それもあるけど。明日も早いから」
正「…そしたら、ちょっとだけ。
飲んでいきませんか？」
.
.
.
なんだか断れなくて、来てしまった。
正門くんがよく来るという、お洒落なバーだ。
カウンターに並んで座ると
スーツ姿の彼はまるでドラマのワンシーンのようで。
驚く程に素敵だと思った。
正「なんか、無理やり誘ったみたいやない？
大丈夫やった？」
「うん、まだ時間もあるし」
正「了解。ちゃんと帰さなあかんね。」
肘をついたまま、ははっと笑う正門くん。
あの頃から変わってない笑い声に、
なんだか涙が出そうだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 595人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クサズのエクボにハマりたい(プロフ) - 5秒のまっさん想像してもうギュンギュン (2022年4月16日 16時) (
レス) @page17 id: b885ecfa48 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 5秒ファンサの正門くんですね？！最高です(；；)♡ (2022年4月16日 1時) (レス) @page17 id: 19a0d7c3e3 (このIDを非表示/違反報告)
千紗(プロフ) - くまさん» くまさん、コメントありがとうございます！いつもああじゃないこうじゃないと言葉遣いには悩まされているので、そう言ってくださると本当に嬉しいです🥲♡これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします ◡̈ (2022年3月30日 2時) (レス) @page14 id: f0313b62fd (このIDを非表示/違反報告)
くま - 毎回お話楽しみに拝見させて頂いてます！今まで見たAぇさんの小説の中で1番リアルに見えるというか、言葉遣いがまんますぎて毎回天才だなぁと思いながら見ています(笑）これからのお話も楽しみにしております🥰 (2022年3月29日 16時) (レス) id: 0f63c42052 (このIDを非表示/違反報告)
千紗(プロフ) - すずさん» すずさんありがとうございます…！いつもくださる言葉が嬉しすぎて、感謝感激です🥲『6月の花嫁』に関しては、幸せな小島くんのお話を書きたいと思って書いてみました。あとは皆さまのご想像にお任せいたします◎ (2022年3月29日 2時) (レス) id: f0313b62fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千紗 | 作成日時：2022年3月23日 21時
