１９１． ページ42
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「いや…別に何も。
それより、大野。
せっかくちゃんと食えるようになったんだから、これからは無理も程々にしとけ。
櫻井にあんまり心配掛けるなよ？」
いつしか止まっていた大野のスプーン。
形の良い眉を心配そうに顰めてる。
俺は、冷めるから続きを食えと促して、自分もオムライスを大きく頬張った。
大野は黙って俺を見ていたが、俺に話す気がないと察したのか、そのうち黙って食い始めた。
やがて完食した二枚の皿を、ホールスタッフが食後の飲み物と引き換えに運び去った。
熱いブレンドコーヒーを啜る俺を、大野がジトーッとした目で見てる。
「そんなに見るなよ。
飲みにくいだろ」
「俺の前でよくもそんなに美味そうに飲めるね」
そう言えば、こいつは櫻井に「コーヒー禁止令」を出されてるんだった。
いつもの習慣でうっかりコーヒーをオーダーしたが、可哀想なことをしたな。
不貞腐れた大野が、アイスティーにミルクを大量投入してストローでくるくるかき混ぜる。
おいおい、真っ白だぞ？
「そんなに入れたら紅茶じゃなくなるだろ」
「俺だって嫌だよ。恥ずかしいし。
でも紅茶飲むならこうしろって」
櫻井は大野をかなり細かく管理しているらしい。
頑固者の大野が、よく素直に従ってるもんだ。
大野は不満そうに小さな口をすぼめ、ストローで「殆どミルク」のアイスティーを吸った。
オムライスにミルクティーって…女子かよ(笑)
適当な雑談をしているうちに、昼休みの終了時刻が近付いて来た。
周囲の客が次々に立ち上がって精算に向かう。
大野もまた立ち上がり、テーブルの上に自分の分のランチ代を置いた。
「おまえはゆっくりしていけよ。
ここはビールが美味いらしいよ」
「昼間っからこんなトコでお一人様しろって？
やだよ。空しすぎるだろうが」
「ふふっ、寂しがり屋だな。
それなら早く大阪に帰れよ。
おふくろさんが待ってるんだろ？」
片手を上げて出口に行きかけた大野が、何かを思い出したように振り返る。
忘れ物でもしたか？
大野は言った。
「あのさ…
俺、決めたから」
「えっ？」
「決めたんだ。
これからのこと」
帰り際に言うようなことか？
「それって――」
思わず身を乗り出した俺に、大野は静かに微笑んだ。
その顔には迷いも翳りも見当たらない。
向けられた微笑みに望みを懸ける。
聞かせてくれないか。
おまえは何をどう決めたんだ。
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kotorix(プロフ) - 羽琉さん» 羽琉さん、コメント有り難うございます！長らくお待たせして本当に申し訳ございませんでした。更新分の下書きを終えました。もう少しだけお待ち下さいね！ (2015年11月22日 16時) (
レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
羽琉(プロフ) - 「君と歩く坂道6 」楽しみにしています。 (2015年11月22日 15時) (レス) id: af49d66303 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - あやちさん» あやちさん、コメント有り難うございます！書きたかったスカイツリーネタをここに放り込み、ついでに山々しくさせていただきました(笑)次パートは物語がやっと動きます。ノープランで書き出したこの長い物語も、いよいよ終盤です。これからも宜しくお願いいたします！ (2014年11月24日 11時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - 美唯さん» 美唯さん、いつもコメント有り難うございます！やっと移行しましたので、突っ込みどころ満載な続きを是非ご覧下さいませ♪昨晩はほぼほぼ徹夜でしたが、自分なりにひと山越えて何だかスッキリです。応援いただき本当に感謝です！ (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - えりんこさん» えりんこさん、いつも有り難う！たった今、やーっと移行したよー！（←激亀）こんな展開でいいのか分からないけど、次パートでは私の限界を絞り出しました。これがノープラン＆見切り発車の怖さってヤツだと実感してるとこ。疲れた… (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2014年9月7日 11時
