１８６．涙する人 ページ37
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「えっ？？？
翔くん、どこ行くの？？？」
大野さんが聞いても、翔さんは彼の手を引きながら「あとのお楽しみ」と言うばかり。
相葉さんと俺はワケがわからないながらも、二人の後を付いて行った。
それから間もなく、俺らは翔さんが言っていた「処置」の意味を知ることになる。
「着いたよ」
翔さんが得意気に言った。
目の前には「豆腐料理 花」と書かれた看板。
「………翔くん…
もしかして『元気になる処置』って昼メシを食うってこと…？」
大野さんがそう聞くと、翔さんはニコッと微笑んで頷いた。
「その通りだよ。
あなた、検査が終わったあと、そのまま食事も摂らないで地検に行く気だったでしょ。
『腹が減っては戦は出来ぬ』、ちゃんとカロリーを補給しないと」
翔さんはなおも続けた。
「十二指腸潰瘍は空腹時の過剰な胃酸が潰瘍を攻撃して痛むんだって、俺、前に言ったよね？
胃酸を中和するためにも食事をしなきゃ。
豆腐は潰瘍持ちに適した食材だしね」
そう言って、ごく当たり前のように大野さんの背中に手を添えた翔さん。
「さあ、入ろう」
いつものようにエスコートしようとしたけれど、大野さんは俯いて立ち尽くしたままだ。
翔さんがそんな彼の顔を覗き込む。
「…？
どうかした？
完食しなきゃって思わなくていいから大丈夫だよ？」
優しい声でそう言われた大野さんは、顔を上げると消え入りそうな声で言った。
「……翔くん、俺……
仕事馬鹿で…頑固でごめん…
それから……ありがと…」
言い終えた瞬間、涙が一粒、ポロンと滑るように頬を伝った。
はー…
マジに驚いた。
これも鎮静剤の作用ってことないよね？？？
今日の大野さんは、何かに付けて「レア」だ。
一方、カッコよくキメたはずの翔さんは…
「えっ…！？
さ、智くん？？？
ななななな泣かなくていいからっ！！」
滅多にお目にかかれない大野さんの涙にギョッとして、モーレツに慌てまくってる。
ポケットからハンカチ出そうとして、小銭バラまいてるし(笑)
「やれやれ…。
なんだかんだ言っても、結局は元サヤか。
夫婦喧嘩って、やっぱ犬も喰わないよねぇ」
笑いながら隣りを見ると、相葉さんがしっかりもらい泣きしてた(汗)
さて…潤くんには今日の出来事をどこから報告しようか。
俺はそんなことを考えながら、相葉さんにハンカチを差し出したのだった。
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kotorix(プロフ) - 羽琉さん» 羽琉さん、コメント有り難うございます！長らくお待たせして本当に申し訳ございませんでした。更新分の下書きを終えました。もう少しだけお待ち下さいね！ (2015年11月22日 16時) (
レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
羽琉(プロフ) - 「君と歩く坂道6 」楽しみにしています。 (2015年11月22日 15時) (レス) id: af49d66303 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - あやちさん» あやちさん、コメント有り難うございます！書きたかったスカイツリーネタをここに放り込み、ついでに山々しくさせていただきました(笑)次パートは物語がやっと動きます。ノープランで書き出したこの長い物語も、いよいよ終盤です。これからも宜しくお願いいたします！ (2014年11月24日 11時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - 美唯さん» 美唯さん、いつもコメント有り難うございます！やっと移行しましたので、突っ込みどころ満載な続きを是非ご覧下さいませ♪昨晩はほぼほぼ徹夜でしたが、自分なりにひと山越えて何だかスッキリです。応援いただき本当に感謝です！ (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - えりんこさん» えりんこさん、いつも有り難う！たった今、やーっと移行したよー！（←激亀）こんな展開でいいのか分からないけど、次パートでは私の限界を絞り出しました。これがノープラン＆見切り発車の怖さってヤツだと実感してるとこ。疲れた… (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2014年9月7日 11時
