１６９．side A ページ20
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松兄は総務部に行くと、仲良しの女子社員に、「悪いけど、コレ、着払いで俺んちに送っといて」と言って段ボール箱を預けた。
そして、俺の「待ってよ！」と言う声を完全にスルーして社屋を出ると、出勤してくる社員に逆らうように歩いて、やがて赤信号の横断歩道の手前でやっと止まった。
俺は松兄の前に回り込んで訊いた。
「松兄、何があったんだよ。
ここならいいでしょ？
話してよ…！」
社会部から異動して来たばかりのときは問題児扱いされてたけど、持ち前のバイタリティで文化部での仕事も高く評価されていた松兄。
これといった問題なんか起こしてないはずなのに。
掴み掛かるように問いつめる俺に、松兄はフーッと溜め息をついて言った。
「…昨日の仕事帰りに社会部の黒沢部長に呼び出された。
週明けにも戻してやると言われた」
意外な話に驚いた。
松兄は社会部への復帰を強く希望していたはず。
その内示を受けたのに、断って辞表書いたってことか？
松兄のやけに吹っ切れたような顔に不安が募った。
「それで？」
「復帰のための条件が気に入らなかった。
だから辞表を書いた。
それだけだよ」
「それだけって…！
黒沢部長が提示した条件って何だったの？
勤務地？
それとも待遇？
松兄、社会部に戻りたかったんでしょ？
早まらないで、よく考えなきゃ！
妥協出来ないようなことなの？」
「出来ないね」
きっぱりと言い切った松兄。
「ウチが十一月に週刊誌を創刊するの、おまえも聞いてるだろ？」
「えっ？
うん、勿論聞いてるよ。
詳しいことは知らないけど、すごく力入れてるって噂だよね」
「その初代編集長が現社会部部長の黒沢なんだと。
あいつ、目玉にする連続企画を俺に任せると言って来た」
「えっ！
それってすごい話じゃない！」
「確かに普通に聞いたらイイ話だよ。
記者が目玉企画の連載を任せられるなんて、そうそうあるもんじゃないからな。
だが問題はその企画の内容だ」
「何だったの？」
「………」
松兄は黒沢部長とのやり取りを思い出したのか、険しい顔をして口を閉ざした。
「松兄…？」
急に黙り込んだ松兄の腕に手を掛けて揺すると、松兄は俺をじっと見て考え込んだ後、「これからの話、一切口外無用だ。守れるか？」と聞いた。
やけに真剣な目でそう言われて何だか聞くのが怖い気がしたけど、生唾をごくりと飲み込んで、しっかり頷いた。
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kotorix(プロフ) - 羽琉さん» 羽琉さん、コメント有り難うございます！長らくお待たせして本当に申し訳ございませんでした。更新分の下書きを終えました。もう少しだけお待ち下さいね！ (2015年11月22日 16時) (
レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
羽琉(プロフ) - 「君と歩く坂道6 」楽しみにしています。 (2015年11月22日 15時) (レス) id: af49d66303 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - あやちさん» あやちさん、コメント有り難うございます！書きたかったスカイツリーネタをここに放り込み、ついでに山々しくさせていただきました(笑)次パートは物語がやっと動きます。ノープランで書き出したこの長い物語も、いよいよ終盤です。これからも宜しくお願いいたします！ (2014年11月24日 11時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - 美唯さん» 美唯さん、いつもコメント有り難うございます！やっと移行しましたので、突っ込みどころ満載な続きを是非ご覧下さいませ♪昨晩はほぼほぼ徹夜でしたが、自分なりにひと山越えて何だかスッキリです。応援いただき本当に感謝です！ (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - えりんこさん» えりんこさん、いつも有り難う！たった今、やーっと移行したよー！（←激亀）こんな展開でいいのか分からないけど、次パートでは私の限界を絞り出しました。これがノープラン＆見切り発車の怖さってヤツだと実感してるとこ。疲れた… (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2014年9月7日 11時
