１６０．適温適量 ページ11
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幼い領を迎え入れた当時のさくら荘の混乱ぶりは、今でも語りぐさになってる。
日頃から子どもの患者さんもたくさん診ている翔さんは問題はなかったのだけれど、相葉さんと潤くんは、小さい子の相手なんてまともにしたことがなかったから。
中でも、クソ真面目な潤くんの緊張ぶりはハンパなかったらしい。
「潤ったら、領が帰った日曜の晩に熱を出したんだよな」
相葉さんがそう言うと、潤くんが苦笑した。
「そろそろ忘れてよ、その話。
そもそもあれは、相葉さんのアドバイスに従って料理を頑張ったからじゃん。
領が帰った途端、気が抜けたんだ。
当時はレパートリーが少なかったし、もう必死でさ。
四歳児が喜びそうなメニューなんて見当もつかなくて」
「でも、頑張った甲斐あって、領との距離はグッと縮まっただろ？
俺のアドバイスは正しかったってことだよね」
「まあそれはそうだけど」
ドヤ顔の相葉さんに、潤くんが肩を竦めた。
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昔話を肴に賑やかにやっていると、階段を下りる足音がした。
見ると、完全に寝ぼけ顏の大野さんが、例によって翔さんにエスコートされて登場。
相葉さんが立ち上がる。
「すげぇ。
翔ちゃん、起こせたんだ！」
感心している相葉さんに、翔さんが苦笑いする。
「相葉くんが智くんを起こせなかったワケがわかったよ。
起こすとき、すっげぇ罪悪感あったわ」
「でしょ！？
あんなにスヤスヤ眠ってるのに、俺、そんな鬼みたいなこと出来なくてさー」
「鬼で悪かったな (-_-;)」
松岡さんの隣りに腰掛けさせられた大野さんは、無理矢理起こされたのと疲れてるのとで、本当にボーッとしてる。
顔色が冴えないのは、きっと昼から何も食べてないせいもあるだろう。
「大野、食えるか？」
俯き加減の小さな顔を、松岡さんが心配そうに覗き込む。
大野さんが「うん、いただくよ」と言ったので、俺は張り切って立ち上がった。
「大野さん、すぐにシチュー温め直しますからね」
キッチンへ向かう俺を、翔さんが「カズ」と呼ぶ。
「ぬるめにしてあげてくれる？
それと、量は少なめに」
「了解」
猫舌の大野さん。
しかも少食。
一緒に暮らしてるから、この人の適温適量は十分わかってるつもり。
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kotorix(プロフ) - 羽琉さん» 羽琉さん、コメント有り難うございます！長らくお待たせして本当に申し訳ございませんでした。更新分の下書きを終えました。もう少しだけお待ち下さいね！ (2015年11月22日 16時) (
レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
羽琉(プロフ) - 「君と歩く坂道6 」楽しみにしています。 (2015年11月22日 15時) (レス) id: af49d66303 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - あやちさん» あやちさん、コメント有り難うございます！書きたかったスカイツリーネタをここに放り込み、ついでに山々しくさせていただきました(笑)次パートは物語がやっと動きます。ノープランで書き出したこの長い物語も、いよいよ終盤です。これからも宜しくお願いいたします！ (2014年11月24日 11時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - 美唯さん» 美唯さん、いつもコメント有り難うございます！やっと移行しましたので、突っ込みどころ満載な続きを是非ご覧下さいませ♪昨晩はほぼほぼ徹夜でしたが、自分なりにひと山越えて何だかスッキリです。応援いただき本当に感謝です！ (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - えりんこさん» えりんこさん、いつも有り難う！たった今、やーっと移行したよー！（←激亀）こんな展開でいいのか分からないけど、次パートでは私の限界を絞り出しました。これがノープラン＆見切り発車の怖さってヤツだと実感してるとこ。疲れた… (2014年11月24日 10時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2014年9月7日 11時
