１１９．いつか… ページ20
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小さな掌の上にはピンク色の小さな二枚貝。
半透明の美しい貝殻を見て、大野さんがふわっと微笑んだ。
「桜貝だ。
綺麗だなぁ。
こんなの落ちてるのかぁ…」
懐かしい響きだなぁ。
子どもの頃、鎌倉の海で拾ったことがあったっけ。
領が拾ったのは完璧な形の桜貝。
桜貝は、ものすごく薄くて、向こう側が透けて見えるぐらいに繊細で割れやすい。
それが海水浴客に踏まれることもなく残っていたなんて。
領は自分の掌に載せた桜貝をじっと見つめながら大野さんに聞いた。
「これ、お家にもってかえっていいの？」
「いいよ。
途中で壊れないように工夫しないとね」
大野さんがそう言うと、領は花が開くように笑顔になって顔を上げた。
「ぼく、たからものにする」
「そっか。
良いものを見つけたね」
領は、松岡さんや買い出しから戻って来た潤くんにもこの宝物を嬉しそうに見せた。
領はずっと手に持っていたい様子だったけれど、このままだと壊してしまいかねない。
潤くんがおやつに持って来ていたキャラメルの箱を一つ空にして領に渡すと、領は名残惜しそうにしつつも桜貝を真水で濯ぎ、ティッシュにそっとくるんでその中に仕舞った。
領を見ていると、自分の子どもの頃を思い出す。
家族で海に行った時に拾った貝殻、川原で拾った薄くて丸い石、親に届いたエアメールに貼られていた外国の切手…
大人にとっては珍しさも価値もないようなものを、箱に入れて宝物にしていたことがあったっけ。
さくら荘に住む前、実家で探し物をしているときにそれを見つけて、こんなくだらないものを大切にしていたのかと、当時の自分を笑って捨ててしまった。
今の俺なら、違った想いでそれを見たのだろうけど。
以前、翔さんが、領を通して自分の子ども時代を追体験出来ると言ったが、本当にその通りだ。
「育メン生活」を本気で楽しんでいる俺らは、子育てにかなり向いてると思う。
だけど、この日々は、いつか終わるときが来る。
夢が覚めてしまうように。
その日が近い将来でないことを願わずにいられない自分がいた。
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kotorix(プロフ) - satoshiikoさん» satoshiikoさん、その通りです！今、誤字脱字その他の最終チェックをしておりますので、もうちょっとだけお待ち下さいね〜♪ (2014年9月7日 13時) (
レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - 次パートはパスが取れるのを待っていればいいのかな？ (2014年9月7日 13時) (レス) id: 48c930074b (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - satoshiikoさん» satoshiikoさん、はやい！ついに追いつかれてしまいました〜！本当に有り難うございます。通しで読んでいただくと、思いつきで書いてるのがバレバレですね(^_^;)このあと次パートに更新する予定ですので、引き続き宜しくお願いいたします♪ (2014年9月7日 12時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - 美夏(´･∀･`)さん» 美夏(´･∀･`)さん、はじめまして♪コメント有り難うございます。おお、リアル桜荘ですか(^_^)昭和な感じがしますね〜♪「桜の木〜」のシリーズは随分長い物語になりましたが、今回は一応完結編のつもりで書いています。最後までお付き合い下さると嬉しいです♪ (2014年9月7日 12時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - 翔ちゃんのお口いっぱい頬張る描写とか、おかしくって楽しくて、149まで読み終わりました。また次を楽しみにしています。 (2014年9月6日 9時) (レス) id: 48c930074b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2014年7月19日 16時
