２４７．張り切る人 ページ9
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「まずは翔くんの分ね」
心の準備もないままの俺に向かって、何か飛んで来た。
思いがけず大きいそれを慌てて両手で受け止めると、それは真っ赤な袋に入った筒状の、でも軽くて柔らかいもの。
「次は相葉くん」
今度は緑。
「潤、それから僕」
続けざまに受け止めては床に置くこと四回。
「これが最後。
カズの分」
最後に飛んで来たのは黄色い袋。
床を見ると、赤、緑、紫、青、黄―――綺麗な五色だ。
五人それぞれの分だと言われたけど、これって布団っぽい。
でもなんで布団？
大野さんは、俺が心配するまでもなく、危なげない軽やかな動きで床の上にすとんと降り立った。
「これ、何ですか？」
「ふふっ。
寝袋だよ」
インドア派の俺には馴染みのないものだけど、なるほど、言われてみればそう見える。
「クローゼットの上に、ちょっとした収納スペースがあるんだよ。
たまにしか使わないものはそこに置いてるんだ」
「寝袋なんて出してどうするんです？」
そう尋ねると、大野さんはにっこり笑った。
「後で星を観に行くときに持って行くんだよ。
これにくるまって、草っ原に寝っ転がる。
そうやって見る星空は最高だから」
「へえ…！
気持ち良さそうですね」
「うん、気持ちいいよ。
気持ち良すぎて、この前なんか、そのまま眠っちゃったぐらい(笑)」
マジかい… (@_@;)
真っ暗だし、この辺りの草っ原と言えば牧草地。
夜になれば、人っ子一人歩いてないようなとこでしょ？
連れ去られでもしたらどうするんだよ(汗)
無防備すぎでしょうが。
「これ、リビングに運んでおいてくれる？
僕は納戸から懐中電灯と下に引くマットを出して来るから」
「えっ？
あ、はい」
いつもより猫背が伸びてるような。
部屋を出て行くその人は何だかきびきびしていて、普段のゆっくりした大野さんとはちょっと違うみたい。
これが櫻井さんの言っていた「張り切る大野智」だとしたら、遠足前の小学生みたいで、何だか可愛い(笑)
リビングに五つの寝袋を運ぶと、大野さんがアルミを蒸着したウレタンマットを巻いたものを抱えてやってきた。
脇に挟んでいるのは、ペンタイプの懐中電灯。
どちらも五本ずつある。
ここが山荘だからなのか、アウトドアグッズがやたらと豊富だな。
大野さんは、それぞれの寝袋の口紐に、懐中電灯とマットを一本ずつ挟み込むと、青を一番左にして並べ替えた。
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kotorix(プロフ) - しのぶ(改)さん» しのぶさん、拙い作品ですが、最後までお読みいただいて本当にありがとうございました。随分前に書いた物語ですが、密室トリックを考えているときは家族にだいぶ気味悪がられました(^_^;) (2019年1月6日 16時) (
レス) id: 5cfd22b9da (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - りんごさん» りんごさん、一年もお返事せずに大変失礼いたしました。最後までお読みいただいて本当に嬉しいです。こちらの方こそありがとうございました(*^_^*) (2019年1月6日 16時) (レス) id: 5cfd22b9da (このIDを非表示/違反報告)
しのぶ(改)(プロフ) - 泣きました。素敵な物語をありがとうございます。 (2019年1月5日 22時) (レス) id: 3f40e942ad (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 天才だと思いました。本当に、本当に面白かったです。ネット小説で、こんなにハラハラドキドキしたことはありませんでした。すごく楽しかったです。素敵な小説、ありがとう (2018年2月14日 21時) (レス) id: 31eb5fcb90 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - たけちゃんさん» たけちゃんさん、コメントとっても嬉しいです♪最後までお付き合いくださり有り難うございます！風呂敷を広げ過ぎて迷走した作品ですが、ラストシーンが頭に浮かんでからはそこに辿り着くよう目指しました。再び始まった五人の物語を思い描いてい頂けたら嬉しいです♪ (2014年9月11日 13時) (レス) id: e9eb502708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2013年6月2日 22時
