６７．Side S ページ18
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昔を思い出しながら、彼らしい可愛いエピソードにほのぼのしていると、「始まるよ」という智くんの声。
見れば、いよいよ一年生の全員リレーが始まる所だった。
紅白二組ずつトラックを半周ずつ走るこの競技、しゃがんで待機している領は、数えてみると三番走者らしい。
「位置について。
よーい…」
今日一日ですっかり聞き慣れた、だけど毎回緊張するスターターピストルの音。
一番走者の児童が一斉にスタートした。
領のグループは、赤い帽子に水色のハチマキ、水色のバトンだ。
一番走者はさすがに俊足、甲乙つけがたい走りっぷりで、ほとんど差がつかないまま二番走者へ。
水色のバトンタッチがちょっと乱れた。
懸命に走っているが三番手に。
「水色、頑張れ！」
智くんが珍しく声を張る。
次はいよいよ領の番。
領はやや緊張した顔でバトンを待っているが、初めての本格リレーの割には落ち着いているようだ。
バトンを落っことしやしないか、転んだりしないか、見ている俺の方が緊張で掌が汗だらけ。
一方、智くんはというと、こんな時でもやっぱり「智くん」だ。
いつもと同じ穏やかな瞳で領を見守っている。
その左手には、家族写真の入ったあのパスケースが握られていた。
四人の走者の差は２メートルもない。
大接戦の中、三番目ながら、領が水色のバトンを巧く引き継いだ。
「領！！
頑張れっ！！」
智くんと一緒に、身を乗り出して声援を送る。
子鹿のような綺麗なフォームの領が、走る、走る、走る…！
母が与えてくれた、小さくても強い躯で疾走するその姿は、二十数年前の父を再現しているかのごとく軽やかだ。
懸命なその姿に、俺は胸がいっぱいになる。
「領っ！！
走れーっ！！」
相葉くんのエールが校庭に響いた。
松岡さんとカズ、そして潤のエールも。
「頑張れっ！！」
「いけいけーっ！！」
「走れーっ！！」
優しく、強く、健やかに育て。
想いを乗せた俺らの声は、きっと領に届いている。
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kotorix(プロフ) - ハナさん» ハナさん♪コメント有り難うございます！この番外編はかなりふざけておりますが、お楽しみ頂けたのでしたら幸せです♪只今本編「桜の木〜」の続きとなる物語を書いているところです。UPしましたら、また宜しくお願い致しますm(_ _)m (2014年5月22日 17時) (
レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - 思わず吹き出して笑ったり、気づいたら泣いていたり。
風景の描写も心情も丁寧に描かれていて、本物の小説を読んでいるようでした。
他の作品も読ませてもらいます(*^^*) (2014年5月21日 21時) (携帯から) (レス) id: 76595ef1fb (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - soraさん» soraさん♪コメント有り難うございます！本編はいつの間にかシリアスな傾向でしたが、番外編で笑って頂けたら嬉しいです。「桜の木〜」は、いつかまた番外編など書いていけたらと思っています。そのときはどうぞ宜しくお願いいたします♪ (2013年8月27日 7時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
sora - 本編ともに一気に読ませていただきました。本編はどきどきしながら番外は楽しくまた作品読ませてください。ありがとうございました。 (2013年8月26日 0時) (レス) id: 590552740b (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - はぴともさん» はぴともさん♪本編からお読み頂き、有り難うございますm(_ _)m本編は出だしがほのぼの路線でしたのに、どんどんシリアスな展開に。ラストシーンから半年後となるこの番外編は、６人の「パパ」たちに張り切って貰いました♪相葉君は書いていてホントに楽しかったです♪ (2013年6月10日 0時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年10月15日 1時
