１９．感無量 ページ20
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「翔くん、どうしたの？
開会式始まるよ？」
怪訝な顔で見上げる大野さんに、翔さんはバツが悪そうに言った。
「副校長が、『もう行っていいですよ』って…」
「えっ？
来賓席に戻らなくていいの？」
「うん。
お役御免になっちゃった。
あとは保護者として楽しんで頂いて結構ですって…(^_^;)」
翔さん、大野さんのことが心配で、来賓の議員さんに話し掛けられても上の空だったもんな…
「あとはって…
まだ開会式が始まってもいないのに？
一体どうしたの？」
大野さんは自分に原因があるとも知らずに驚いた顔をしたが、松岡さんは豪快に笑った。
「まあ、大野。
一緒に応援出来るんだからいいじゃないか。
それより、ほら。
始まるぞ！」
軽快な音楽に足踏みを合わせながら、入場門から小さな一年生が行進してきた。
みんなとにかくちっちゃくて、キョロキョロしたり、ニコニコしたり、家族を見つけて手を振ったり。
その自由さが可愛くて。
領は赤い帽子の列の、前から三番目だっけ…
居た…！
いつになく真面目な顔をしているが、持って生まれた元々の雰囲気が、父親譲りでほわっと優しい領。
白地で襟と袖まわりが緑色の縁のついた体操着と同じ緑のショートパンツは、一番小さいサイズのはずなのに小柄な領にはまだちょっと大きくて、それが可愛らしさを強調していた。
きちんと並んで行進してくるのを見ていると、随分大きくなったなぁと改めて思う。
出会った頃の、もっと小さかった領を思い出す。
さくら荘の賄い人の面接の最中、二階からパタパタと下りて来て、翔さんの膝にぱふっとしがみついたのが最初の出会い。
あれから一年八ヶ月。
一緒に折り紙をしたり、庭で雪遊びをしたり、水族館に行ったり……東京タワーにも一緒に上った。
日曜の夕方、護国寺の祖父ちゃんちに帰るのが嫌で大野さんにしがみついていた小さな領を思い出すと、今も胸の奥がキュンと痛くなる。
あの領がこうなったんだと思うと、柄にもなくじーんとした。
「大きくなったなぁ」
松岡さんも同じように思っていたのかな。
感慨深げに呟いた。
父親の大野さんは今、どんな思いで領を見ているのだろう。
そっと隣りを伺い見ると、彼は領をまっすぐに見つめていた。
その瞳はどこまでも優しくて穏やかだ。
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kotorix(プロフ) - satoshiikoさん» satoshiikoさん、予想通りでした！？可哀想でしょ〜？（笑）翔くんもギャップが魅力な人ですよね。それぞれいい大人になったけれど、しっかり者の彼が思いっきり破顔していると、なんだか安心します♪ (2014年9月4日 20時) (
レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - こんにちは！ フォークダンスの結末、予想通りでしたよ。可笑しい〜！ 翔ちゃん、可哀想^o^ (2014年9月4日 12時) (レス) id: 48c930074b (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - 葵羽さん» 葵羽さん、こんにちは！Ｓさんは、大変出来る男ゆえ、あの残念な部分が愛らしいのだと信じております（笑）そしてここのＯさんはあまりにもボンヤリさんで、それゆえみんなに構われまくるという…もう脳内がこんな妄想、あんな妄想で凝り固まっております(^_^;) (2012年10月13日 18時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
葵羽(プロフ) - kotorixさん
愛らしいSさんの魅力がたっぷりですね!
Oさんも相変わらず、自分の魅力に全然気付いてなくて、みんなを引き付けてる事を分かってないんですねぇ…
更新楽しみにしていますが、無理されずに… (2012年10月13日 11時) (携帯から) (レス) id: b9a285cbb8 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - マーブルさん» マーブルさん、こんばんは！遠ざかる撫で肩に悲哀を感じて頂けましたでしょうか（笑）意地悪な作者のせいで、折角自主トレしたのに報われなかったドクターです(^_^;)容量が満タンとなりましたので、次回はパート移行となります。引き続きよろしくお願い致します(^_^)/ (2012年10月12日 22時) (レス) id: 66db8230c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年9月24日 0時
