３５４．魔が差しそうな ページ21
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昨日の晩遅く、大野さんは上司である東京地検の次席検事に電話し、直接辞表を取り下げた。
今後のこともきちんと話し合ったようだ。
大野さんが二階の自室で電話している間、彼が子育てと検事を両立出来そうな展開になってホッとしたせいか、居間で酒盛り中の俺らは、いつも以上にハイテンション。
相葉さんは、何杯目かのグラスを飲み干したとき、思い出したように言った。
「そうだ。
領の誕生日のときの写真が出来たんだった。
見たい？」
「「見たい！」」
「見せて見せて！」
相葉さんは早速二階から大量の写真が入った箱を持って来て、テーブルの上に何枚か並べた。
「領が良い顔してる♪」
「でしょ〜？」
「あっ、コスプレ写真まで撮ってやがる！」
「そりゃそうだよ！
あれって用意するのが毎回大変なんだから。
翔ちゃん、『ミニスカポリス』、似合ってたよ♪」
「馬鹿言うなっ！！
網タイツなんか履かせやがって！
だいたい、こんな写真撮ってどうする気だよ！」
「どうするって、決まってるでしょ。
うちの会社で売るんだよ。
ご近所さんにも評判よくってさ、意外と良い値が付くんだよね♪
ほら、こっちの松兄の『美少女戦士セーラームーン』もバッチリじゃね？」
「じょじょじょ冗談だろっ！？
こんなの世に出たら、俺、破滅じゃん！！
患者が逃げる！！
嫁の来手がなくなる！！
おまえ、三代続いた櫻井医院を潰す気か！？」
翔さんは相葉さんに掴み掛かって猛抗議。
相葉さんは、ひゃっひゃっひゃっと大笑いして「落ち着いてよぉ」と翔さんのなで肩を叩いた。
「翔ちゃんたら、どこまでピュアなのさ(笑)
冗談も通じやしないんだから。
俺が翔ちゃんを商売に利用するワケないじゃん。
松兄のあんな写真バラまいたら、それこそ血祭りだし。
……けどさぁ…」
「けど？？？」
「リーダーのこの一枚…
売りに出したら、いったいどんな値が付くのかなって…
ちょっと魔が差しそうになる」
あの日、大野さんは過激なコスプレはしてなかったはず。
それなのに？？？
「どれどれ」
翔さんと潤くんと俺が、興味津々で覗き込む…
「……おおっ…」
俺の両脇の二人の喉がゴクッと鳴ったんですけど(笑)
いや…
無理ないかも。
それは、満開の枝垂桜をバックに、何やらアンニュイな表情の大野さんのバストショット。
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年5月8日 15時
