３３５．フォロー ページ2
翔さんが「ちょっと具合悪くなっちゃって」と言うと、二人は途端に心配そうな顔になった。
「どうしたの？
東京タワーは行ったんだよね」
「うん。
うっかり鎮痛剤と酒、一緒に摂っちゃって」
「えっ！？
マジかよ…！」
潤くんはそれが危険なことだと知っているようで、顔を曇らせた。
相葉さんはどこがどう悪いのかピンと来てないみたいで、俺にこそっと「それって良くないの？」と聞いて来た。
後ろめたさを抱えながらもそうだと言うと、相葉さんは神妙な顔で「知らなかった」と頷いた。
「リーダーがずっとお酒飲んでなかったのはそういうことか。
で、翔ちゃん。
具合はどうなの？
領は？」
「領は何も知らずに寝てるよ。
大野さんは胃痛と瀕脈が出てるけど、たいして飲んでないから重篤なことにはならないと思う。
明日には元気になるんじゃないかな」
その言葉にほっとした潤くんだが、すぐに怪訝な顔になる。
「翔さんが付いてて、なんでこんなことになったのさ」
「ごめん。
ちょっと席外してる隙にね」
翔さんはこの騒動の発端が俺にあることを言わないつもりのようだけど、俺は黙っていられなくなった。
彼が風呂に入りに行っている間に、居酒屋での自分の言動を二人に話した。
相葉さんも潤くんも、俺の話を黙って聞いていた。
話し終えた時、潤くんが言った。
「まあ…カズがそう言った気持ちもわかる。
領は俺らにとっては甥っ子みたいなものだしね。
悲しい顔や暗い顔を見るのは確かにキツい」
相葉さんも頷いた。
「カズがはっきり言ったことで、リーダーに俺らの気持ちが伝わったんじゃない？
一緒に育てる覚悟っていうか、そんなのが」
大切な人を傷付けられたのに、俺を責めるどころか、落ちた気持ちを掬い上げようとしてくれてる。
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年5月8日 15時
