桜の木のある家で (ページ47)

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４７．ギャップの人　(2/7) ページ47

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検察官―――

国家社会の治安維持に任ずることを目的とする検察。
検察官は、刑事事件について、警察と協力して捜査し、もしくは自ら被疑者を取り調べ、その起訴・不起訴の処分を行う。
起訴した場合には公判の場で証拠を立証し、被告側の弁護士と論争を行い、実刑判決が出た場合は、裁判所に法の適用を請求、刑の執行を指揮監督する権限を有する。
このほか、公益の代表者としての立場から幅広い権限をもつ―――

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「秋霜烈日」

検察官が着ける記章の呼称だ。
元々は秋の冷たい霜や夏の激しい日差しのような気候の厳しさをさす四字熟語で、刑罰・権威などが極めて厳しく、また厳かであることの例えとして用いられる。
そしてこの例えが検事の職務とその理想像を表していると言われている。

大野さんは、東京地方検察庁の刑事部に所属する検事だという。
目の前でふにゃっと笑ってるこのちっちゃい人が、日本最難関と言われている司法試験を突破し、警察の猛者を指揮しながら、ときに不眠不休の激務をこなす検事だなんて。

意外すぎて声も出ない。

「まあ、驚くよね。
　普段が普段だけに」

呆けてる俺に翔さんが苦笑いすると、大野さんは「どういう意味だよ」と膨れっ面をした。

警察から送致されてくる被疑者を勾留出来る期間は十日間と決まってるそうだ。
しかし、今回大野さんが扱った事件では、公判を争うに足る裏付けが不足していたらしい。

「勾留期間を延長して証拠を捜してて、水曜にようやく探し当てたんだよ。
　だめ押しで自供取りたかったんだけど、手強くてね。
　でも最終的に、今朝、何もかも話してくれた」

大野さんはそう言って柔らかく微笑んだ。

「そっか。
　それで今朝、早く出たんだね」

「うん。
　僕になら話すって言うもんだから」

疲れの滲む顔だけど、満足げ。
翔さんはそんな大野さんを、誇らしげに見つめている。
しかし、壁の時計がもうすぐ一時を指そうとしているのを見て言った。

「さあ、もう寝なきゃ。
　カズもね」

「あっ、はい」

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