桜の木のある家で (ページ35)

今日:10 hit、昨日:34 hit、合計:1,305,797 hit

３５．ナニモン？？？ページ35

・

月曜日―――

俺は六時に起床。
今日から「賄い人」としての仕事が始まる。

予備校の講義は午後からなので、取りあえず寒くないようにジャージを着込んで、階下に降りる。

あれ？

誰もいないと思っていたのに、居間には灯りが点いていて、暖房も入っている。
誰だろうと思っていたら、玄関側のドアがガチャリと開いた。

「あぁ、おはよう」

朝刊を手にそう言ったのは……

大野さん…？

疑問形なのは、目の前の人が俺の知ってる大野さんと全然違う人だったから。
思わず呆然とする俺。

「どうかしたの？」

怪訝な顔で小首を傾げるところは確かに見覚えがある。
でも―――

スーツなんですよ。

目の前の大野さんは、細身のシルエットのダークスーツをビシッと着こなして、落ち着いたグレー系のストライプ・タイをしめている。
襟が高めの白いカッターシャツが実に眩しい。
昨日までは下ろしていた前髪を上げ、綺麗な額と形の良い眉が露になっている。

……か……
…カッコいい……！！！

あなた一体ナニモンですかっ！？？

・