１７．大事にされる人 ページ17
「相葉くん、大野さんのこと、起こしてきて」
「りょうか〜い」
相葉さんが翔さんに敬礼して、タタッと二階に上がって行った。
俺は通勤用のリュックを床に下ろすと、潤くんが作ったという料理をせめて運ぶくらいはと台所に入った。
なんだ？？？
調理台の上に並んでるサラダやオードブルを見て、びっくりする。
レストランみたいなスゴイご馳走。
これを潤くんが作ったっていうのか？？？
唖然としていると、翔さんが笑いながら言った。
「すごいでしょ。
潤は美食家が高じて、趣味が料理なんだ。
相葉くんは初代賄い人だけど、彼の料理はまあ…結構個性的でね(苦笑)
最近は、殆ど潤に作ってもらってたんだよ」
潤くんは「口に合えばいいけどね」と余裕の笑顔を俺に向けた。
こんなに料理が上手い人がいるのに、俺が明後日からメシを作るんだ…。
やばいぞ。
俺ってば、潤くんの足下どころか地下１００メートルにも及ばない。
みんなのがっかりする顔が目に浮かんだ。
そんな俺の動揺に誰かが気付くこともなく、テーブルの上には色とりどりの料理が並べられた。
「みんな〜、リーダー起きたよ〜♪」
相葉さんの声に振り向くと、大野さんがいかにも眠そうな顔で階段を降りて来るところだった。
やはり一歩一歩慎重に、手すりに掴まりながら。
相葉さんが彼のすぐ横で、落っこちないように見守っている。
翔さんと潤くんも、そんな彼らを当たり前のように見ていて。
やがて階段を降り切った大野さんが、ゆっくりテーブルに向かってやって来た。
昼間に見たときの五割り増しでぽわんとしている上に、髪の毛に寝癖ついてる。
目の前のご馳走を見て、ふわっと微笑む。
この人って、どうしてこう「ほわっと」とか「ふわっと」とかいう擬音が似合うんだろう。
「すげぇ美味しそう。
何にも手伝わなくて、ごめん」
潤くんが「いいの、いいの」と言いながら、大野さんのために椅子を引いてやっている。
「お疲れなんだよ、リーダーは。
少しは寝れた？」
相葉さんが、腰掛けた大野さんの後ろに回って、肩を揉んでやっている。
……翔さんだけじゃないぞ。
この人たち何なの？
大野さん、大事にされすぎてない？？？
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年1月29日 11時
