桜の木のある家で (ページ14)

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１４．楽しいページ14

大きな居間と一続きになっている台所は、意外にも綺麗に使われている。

おそらく綺麗好きで几帳面な住人が最低一人はいるらしい。
調理器具は全部揃ってるし、設備的には申し分ない。
冷蔵庫を開けてみる。
牛乳とミネラルウォーターと卵、それに果物だけ。
明日買い出しに行かないとな。

その後、風呂やトイレ、洗濯室など、下宿内のいろいろな設備を一通り見てタイムアウト、出勤の時間になった。
戸締まりをして、愛用の自転車で職場へ向かう。

ふふっ。

世界一ツイてないって嘆いてたのって誰だっけ？
俺、めちゃくちゃツイてる気がしてきた。

あの部屋にただで住めるんだし、自分で作るとはいえ食費もただ。
大家は医者で、万一病気しても安心だし、やたらと可愛い親子とも知り合えた。

俺を騙した馬鹿野郎への恨みも、本気で忘れてしまいそうだよ。
あいつが家賃滞納しなかったら、この出会いもなかったわけだし。

いま巷では「シェアハウス」の人気が高いみたいだけど、何かその理由がわかるような気がした。
アパート暮らしと違って、生活の一部を共有するのって、煩わしいときもあるだろうけど、メリットの方が多そうな予感。
「さくら荘」だってレトロだけどれっきとした「シェアハウス」だもんね。

あー、なんだか楽しい。

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