移りゆく季節とともに番外編２／完結 (ページ35)

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８５．ページ35

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「翔ちゃん？」

相葉くんに声を掛けられて、ハッとする。

「大丈夫…？」

心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。

「…ちょっと大野さんのこと思い出してた」

「ごめん、俺が夢の話なんかしたから…」

オロオロ顔の相葉くんに、笑顔で返す。

「謝らないでよ。
　俺さ、確かに前はつらい思い出ばっかり引き摺ってた感があったけど、今は違うよ。
　あの人の言葉を思い出す度に、自分が正しい位置にリセットされるんだ。
　よっしゃ頑張るぞって感じにさ」

そう言ってガッツポーズを作ってみせると、相葉くんがホッとした顔で微笑んだ。

「そっか…。
　翔ちゃん、元気になったんだね」

「うん、やっとね…。
　あの人さ、結構いいコト言ってたからね。
　俺は俺の場所で頑張らなくちゃ。
　いつまでもメソメソしてたら、大野さんに叱られるよ」

「うん、そうだね。」
　

相葉くんの顔に翳りはない。
おそらく俺の顔にも。

前は、智くんを思い出す度に、締め付けられるような胸の痛みを感じていた。
今でも時々切なくなるけれど、その痛みの後に前を向くことが出来るようになったと思う。

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