１５． ページ15
すべての収録が終わり、観覧のお客さんとゲスト、相手チームへのお礼の挨拶を終えた俺らは、次なる「仕事」に取りかかる。
時刻は間もなく午後九時。
汗をいっぱいかいた智くんは、風邪を引くといけないので、松潤に誘導されてシャワーを浴びに行った。
石破さんと本田さん、瀬野さんを除くマネージャー陣は既に復帰祝いの会場である小料理屋に行っていて、宴会の準備をしているはず。
二人がシャワーから戻って来るのを楽屋で待っていると、濡れたままの松潤がバスタオルだけ巻き付けた状態で慌てて飛び込んで来た。
ぎょっとしている俺らに、松潤が「来て！リーダーが！」と叫んだ。
また倒れたのかとドキッとして、楽屋の向かい側のシャワールームに駆け付けると、奥のシャワーブースの床に、智くんが裸のまま蹲っていた。
「智くん！？」
抱えた膝の間に顔を埋めている智くんに声を掛け、取りあえずバスタオルで濡れた髪や身体を拭う。
抱き起こそうとして身体に手を掛けたとき、智くんが漸く顔を上げた。
「わっ！？
真っ赤じゃん！！」
ニノが思わず大声を出した。
智くんの顔も耳も真っ赤。
茹で蛸のようになっている。
「…大騒ぎしないでよ。
のぼせただけだよ…」
智くんは弱々しく言うと、強がる言葉と裏腹に、膝を抱えた姿勢のまま俺の方に体重をこてんと預けてきた。
目を閉じ、真っ赤な顔で苦しげに浅い息を吐いている彼に寄りかかられて思わず固まっていると、いまだバスタオル一丁の松潤が「何だよ、情けねぇな」と言わんばかりに俺をじろりと見て、智くんにバスタオルを掛けて抱き上げた。
胸から腹にかけた大きな傷痕が露になり、皆の視線が釘付けになる。
術後一ヶ月経って、随分落ち着いたものの痛々しさは拭えない。
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作者名：kotorix
| 作成日時：2012年1月2日 16時
