６．衝撃 ページ6
収録は台本のないバラエティ番組だった。
智くんに何が起こったのかわからない不安を抱えながら、四人だけで何とか収録を終えた俺たち。
楽屋に戻った後、石破さんから聞いた話は予想をはるかに越えていた。
智くんは、５月、ドラマの撮影前の健康診断で視界が狭いことを指摘されたらしい。
再検査をしたところ、眼科じゃなくて脳神経の方だということで、Ｋ大付属病院を紹介された。
精密検査の結果、脳の中心部に腫瘍があって、それが両目の視神経を圧迫していることが判明する。
良性の腫瘍で成長スピードも緩やかだが、深部に入り込んでいるため、数回に渡る手術が必要と診断された。
出来るだけ早い時期での手術を勧められたが、ドラマやコンサートの後にもレコーディング等の予定が入っていて、智くんのスケジュールは９月末まではぎっしり埋っていた。
そこで１０月から丸々二ヶ月休みをとって、手術と療養をする予定だったそうだ。
それが、昨日、一人だけのレコーディングを終えた直後、スタジオで強烈な頭痛に襲われ、更には目が見えないと訴えたため、本田さんが病院に連れて行った。
検査の結果、脳の中の腫瘍が何らかの理由で出血してしまったとのこと―――
「…それで…それで智くんはどうなんですか…！？」
俺が動揺しながら問うと、石破さんは深刻な顔で言った。
「すぐ緊急の手術になって、腫瘍は可能な限り摘出したそうだ」
「よかった…」
「…うん…。…だが、後遺症が残るらしい……」
「後遺症…？
どんな後遺症なんです？」
「……」
嫌な沈黙に肌が粟立つ。
「石破さん…？」
「……両目とも…ほぼ失明状態だ…」
・
嘘だろ―――
・
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作者名：kotorix
| 作成日時：2011年12月15日 12時
