１９．お茶の時間 ページ19
俺が唖然としたのに気付いたのか、智くんが苦笑して言った。
「そしたら、翔くん、ちゃんと出来るとこ見てて」
やっぱり智くんは優しいな。
しょうがないなーという顔のニノにニヤッと笑ってみせた俺は、「うん！」と元気に言って、智くんを見守ることに。
智くんはキッチンに用意してあった急須に、茶葉を入れた。
ケトルのお湯が沸いた。
火傷したりしないか心配だ。
でも、智くんは、スイッチを切ると、ケトルを持ち上げ、湯量センサを使いながら、火傷しないよう慎重に湯のみ茶碗にお茶を注いでいく。
真剣な顔が必要以上に男前。
そして落ち着いた所作が丁寧で美しい。
「智くん、すごいね！
五人分のお茶、濃さも均等だよ」
見事に五人分のお茶を上手に入れた智くん。
俺が感心すると、智くんは苦笑い。
「五人分を一度に入れるのって難しいね。
初めてだったから緊張した」
ニノが俺には見せないような優しい顔で言った。
「さすがだなぁ…。
随分肩に力入ってたね。疲れたでしょ。
後で揉んであげる」
ニノと俺でお茶を運び、五人で美味しくいただいた。
その後は軽く缶ビールとおつまみで乾杯。
雑談の合間に、ふと相葉くんが言った。
「リーダー、明日記者会見だよね」
智くんの顔が少し緊張した。
「うん。１時からね…」
「復帰について聞かれるんじゃない？
事務所とは何か話してるの？」
「まだ何も。
退院してから話し合うことになってたから。
明日の午前中、社長に呼ばれてる」
松潤が智くんを心配そうに見た。
「リーダーはどうしたいと思ってるの？」
「おいら…？…おいらは…何も言えないよ」
智くんは複雑な表情で俯いた。
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作者名：kotorix
| 作成日時：2011年12月15日 12時
