チクチクハート (ページ22)

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Side 廉

俺はもう、無視された時点で心折れてるから。
自分からいける気がしいひん。

あ、でも平野くんも無視されるかもしれんもんな。そん時は俺が平野くん慰める！！なんてどうでもいい誓いを立てながら、ホームルームの後、数学の用意をして隣の教室に移動した。

あぁぁ・・・・寝てる。
二宮Aさん、突っ伏して寝ておられます。
顔は確認出来ません。

休み時間はおろか、本鈴が鳴っても起きなくて・・・菊池先生が入ってきても起きなくて冷や冷やする。先生はチラッと二宮に視線をやるも気にせず授業を始めた。

授業中盤、例題を解く時間になった時に先生が二宮の席までやってきて・・・耳元で何かを囁くと、ばっと起き上がった。

おぉぉ、ビビるやん。

で、めっちゃ先生睨みつけてから舌打ちして問題を解き始めたんや。ってか、先生に舌打ちって！態度悪っ！！・・・でも、先生はむしろ面白そうにしてて、ニヤけるの必死で抑えようとしてたから、なんなん？って平野くんと目で会話した。

「じゃぁ、今日はノート集めるから・・・解答できたヤツから順番に持ってこーい。提出出来たヤツから休憩入っていいぞ～。」

マジ？
ラッキー。俺、もう終わるやん♫
1番やーん！

なんてウキウキしながら教卓の前に歩き出し、提出寸前背後に気配。とりあえずノートを置いて振り返れば、二宮Aが真後ろに居たんやけど・・・

なんで？なんで項垂れてるん？

その姿を見て声を出して笑う菊池先生。

「はい残念。お前が集めて持ってくるんだぞ？
じゃ、よろしくー。」

そう言うと、まだチャイムも鳴ってないのに菊池先生は教室から心なしか嬉しそうに出て行った。だって、スキップしそうなくらい足取り軽やかやねんもん。

呆気に取られて二宮を見れば、俺のこと睨んでから自席に戻って行った。まさにプイって感じ・・・

えぇぇ、なんで俺、キレられてるん？

せっかくの1番も苦い物になってしまった。

さすが上のクラスやしか？
休憩までの時間を15分くらい余らせて、全員ノートの提出が完了する。二宮Aが40冊のノートを抱えて教室を出て行った。

平野くんが手伝おうかって言ったんやけど、無言のNOを受けて、平野くんは静かに席に戻ってきた。

「さっき先生に何言われたんやろ？大丈夫かな？」

Noダメージやん。
平野くん、タフやな。
カッコいいよ。