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Side 廉
だから、平野くんは救世主に違いない。
これは逃すと一生後悔すると思って、
必死に話しかけた。
「そうなんや！良かったわ。関西弁、俺だけとか正直辛いし。あー、ほんま良かった！」
「俺も嬉しい！よろしくどーぞ！」
そう言って差し出された平野くんの手を、俺は迷うことなく握り返した。握手なんて、もしかすると初めて交わしたかも。いいもんやな。
「こちらこそ、よろしく！」
間違いなく俺の高校生活を左右する出会いといっても過言ではない。ほんま大袈裟かもしれんけど、高校生ってそんなもんちゃう？
喜びの余韻に浸っていれば、教室に担任が入ってきてホームルームが始まった。
まぁ、内容は在り来たり。
我が校は、私服通学。染髪・ピアスもオッケー。あくまで自己責任でっていう自由な校風が売り。ま、度がすぎないようにね？っていう指導だけが今、担任から入った。
でも、この席から見渡す限りクラスメイトの頭はみんな黒かった。っていうか、服装もみんなThe理系男子っていうの？・・・上手く言えへんけど、そんな感じ。あ、平野くんは違うよ？髪は黒いけど、服はオシャレや。
ホームルームは淡々と続く。
教科書買う本屋さんの案内と、
来週早速数学のテストがあるっていう通知やった。
もうテスト？
早ない？
クラスメイトの控えめなブーイングに苦笑。
「数学は、成績で上と下のクラスに分けるからな。隣のクラスと合同だからなー。」
おぉ、あからさま。
そっか、成績で分かれんのも特進ならではなんかな？
テストか。楽しみやな。
「あぁ、テストかぁ。特進って感じやな？テストばっかりかな？・・・しんどいなー。」
「平野くん、数学嫌いなん？」
「んー、文系苦手やから理系選んだって言うた方が正しいかも。永瀬くんは数学好きなん？」
「うん。数学っていうか、理系科目が好きやねん。俺も、文系は苦手かも。」
「でもさー、特進やし文系も一応あるやん？テスト嫌やなー。」
「あー、うん、嫌やなー。」
2人で机に突っ伏して溜息ついた。
そんな事でも、
もう友達になれたみたいで俺は嬉しかった。
ホームルームのあと、学校案内と軽いオリエンテーション受けて、選択授業選んだりしたら今日の内容は終わった。そう、まだ午前中で終わりなんす。
明日からの授業に備えてさっさと帰れと・・・
ま、俺は寄り道する気満々！！
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作者名：林檎 | 作成日時：2019年3月29日 0時
