振り向いてください業くん (ページ14)

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第１３話ページ14

「だからそこはだな」

浅野君の指が伸びてきて問題をさす。

わざわざ身を乗り出してまで教えてくれた。

正直びっくりした、本に集中して私たちの事なんて興味なさそうだったのに。

「わ～、さすが浅野君じゃん。頭いい～」

「ほんと！教え方もうまいね！」

「そうでもない」

その問題だけ教えてくれた浅野君はすぐに本に目を戻した。

うっわ、あーゆうことサラッとするのか。顔もいいし千夏ちゃんがキャーキャー言ってたの少しは納得だな。

「何、浅野君に見とれてんの～？」

業君がニヤニヤしながら聞いてくる。

「馬鹿言わないで！私が見とれるのは業君だけだよ！！！」

「別にいいんだよ？というかむしろほかの人にもみとれて？ついでに俺のところには二度と来なくていいよ～」

笑顔でそんなことを言う業君は鬼畜だと思う。

「あれ？業君ってもしかして私のこと嫌い？」

「嫌いじゃない嫌いじゃない」

「ほんと！？」

「ちょっと苦手かな～？」

「そんな！！！！でも嫌いじゃないなら私にもチャンスあるよね！っしゃ！」

「何喜んでんの？俺苦手って言ったんだよ？普通は悲しむところじゃないの？」

「なんで！？苦手でも何なら嫌いでもいいんだよ！！！」

「それこそなんで？」

「好きの反対は嫌いじゃないんだよ？無関心。興味ないって言われるよりもよっぽどまし！！！」

あっやばい、ちょっと熱くなっちゃった。

私の脳裏に家族の、父の、母の、冷たい目がよぎった。

ｼﾞﾜｯ

やばい、なんか涙出てきた。

「ちょっ、急にどうしたの！？」

「！？」

私が急に泣き出したのにさすがに驚いたのか浅野君までもが顔を上げてハンカチを貸してくれた。

どうせなら業君のハンカチがよかったな。(←贅沢

一度出た涙はなかなか止まらない。

「よしよし」

業君は状況もわからないまま私の頭を撫でてくれている。

それもとっても優しい顔で。

浅野君は真顔で背中をさすってくれている。

二人ともいい人なんだ・・・。ほんとにいい人たちなんだ。

「ありがとう、ごめんね。すぐに泣き止むから」

「いいよ？好きなだけ泣きな？」

業君も浅野君も泣いている私を責めなかった。

その後、予冷が鳴り浅野君は教室へ戻っていった。

心配そうな顔はしていたけど業君が近くにいるから大丈夫だと思ったのだろう。

「業君、授業は？」

「いいよ、一時間目はサボる」

「そっか。ごめんね」

私はとにかく謝ることしかできなかった。

業君はずっと頭を撫でてくれていた。