７１話 ページ25
「はあ〜。」
立華リツカは本日何度目かわからないため息をついた。
自分たちの活動する場所でこうも憂鬱にされては流石のレムも少々鬱陶しく思った。
レムたちはあくまでグリモワールの謎の解明という面目で人間界にとどまることを許されていた。
「蝶々さ〜、一体何があったのさ。」
レムが口を開こうとした瞬間ウリエが訊ねた。
待ってましたと言わんばかりに目を見開き、それでいてしんみりと語り始めた。
「Aとシキって両思いなんでしょ？」
「まあ、そうなんじゃない？」
「それも小さいころから。」
「小さいっつてもAだけだろ。十数年前じゃ大して変わらないぜ。」
「メィジちょっと黙って。それで蝶々は何が言いたいの？」
「つ・ま・り！あの二人くっ付けっちゃいましょう！」
リツカの突拍子な提案に三人の悪魔は黙った。
自分の惚れた女性はこんなキャラだったのだろうか。過去捏造多発のこの小説内でそんなツッコミなど無意味だが。
「何故？」
「だってあの二人じれったいににもほどがあるんです！
昨日だって…。」
‐リツカの回想‐
一緒にお昼を食べようとリツカは文芸部室に向かっていた。
最近Aは第四巻の原稿に追われ、遊ぶ回数も減っていた。
それでなくても、Aはどこか距離を置いた関係を作っていた。(林檎でつればその壁もたやすく壊れるが…。)
クリスマスが近づいていることもあってかリンドも本職で忙しく、最近学校に来ていない。
アズナもなくなってしまった今、一番気軽に話せるのはAだった。
早朝にリンドに作ってもらったアップルパイ。
悪魔に人間の食べ物は口に合わないが、Aは素から味覚音痴らしい。甘いはずのアップルパイをショッパイと言っていたくらいだ。
文芸部室まであと数メートルというところで部屋のドアが開いた。
出てきたのはシキだ。借りた本を返しに来たのか手ぶらだ。
ドアを閉めるとそこに寄り掛かり、小さくため息をついた。
悲しんでいるような思いつめているような、悔やんでいるようなそんな表情していた。
彼はリツカに気づいた様子もなく、図書館から出ていった。
Aと何かあったのだろうかと思い、急いで部室に入ると、Aも頭を抱え込み、同じような表情をしていた。
何かあったのとリツカが訊ねると。
「何もないよ。本当に何もなかった…。」
ため息交じりにそう答えた。いつもの癖をしていないのでそれは真実だろう。
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隠(プロフ) - BAT ENDではなくBAD ENDだと思うのですが…… (2017年11月3日 20時) (携帯から) (
レス) id: c4241e28be (このIDを非表示/違反報告)
あい - 凄く面白いです！更新楽しみにしてます。 (2016年2月7日 11時) (レス) id: c503bd2bf1 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀聖瑠(プロフ) - 雫石さん» ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします (2016年1月27日 20時) (レス) id: 1f2f759d77 (このIDを非表示/違反報告)
雫石(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しませて貰っています！(*´ω｀*) (2016年1月27日 17時) (レス) id: 7d08b6c3ed (このIDを非表示/違反報告)
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