【Dance with Devilｓ】相交えぬ想い

７０話 ページ23

メアリー＝グリモワールの黙示緑。

本日は久しぶりにたくさんの嘘を付きました。
再び眠りにつく前にここまでお読みくださったあなたには真実を話して差し上げましょう。

え？また嘘だろうって？

信じるも信じないもあなたの勝手ですよ。


まず最初にわたくしめは悪魔の始祖でも、ましてや悪魔でもありませんの。

わたくしめには三つ子の姉妹がいました。
わたくしめはその真ん中。
真の悪魔の始祖はわたくしめの姉。そして妹はヴァンパイヤの始祖。

妹から生まれたのがネスタでしたわ。

わたくしめもあの時腹に宿していた子が産まれていれば、何かしら邪悪な種族となったのでしょうね。

わたくしめ共の悪の気質は父から受け継いだものですわ。

地獄の神である父から。


マリアとマルタのことに関係がないと言ったのも嘘ですの。

マキシスとネスタに立華家がグリモワールの情報をもっているとリークしたのはこのわたくし。

思った以上に楽しいことになりましたわ。

これであの目障りな奴らの子孫の長を葬り去れました。
マキシスはどうか知りませんが、まあそれも暇つぶしとなるのでしょう。

わたくしめは長い時間を魂としてさまよい続けました。

姉と妹はすでに死を迎え、別次元のへと旅立ったのでしょう。

ですがわたくし目は旅立てません。

それはなぜか。その答えはいまだに掴めていないのです。

Aを愛していないといったのは真実でも嘘でもあります。

わたくしめには愛などわからない。

もしもあの時、子を産めていたのなら。

もしもあの時、姉によって閉じ込められた部屋で、妹によって放たれた火で死んでいなければ、答えは出せたのでしょうか。

あの二人は実に嫉妬深い。


わたくしめの夫であった今は亡き美しい堕天使に惚れていたことなどとうの昔に気付いておりましたわ。

もう名前すら覚えていませんが、シキによく似た人物だったことは覚えております。何億も時間がたっておりますので血縁関係があってもおかしくはないのでしょう。

願いをかなえ続けるというのも最近は飽きてきました。

欲望を知れば自分の望みも知れると思ったのですが…。

ここまで長い間、ただ翻弄するだけの理由を見つけ出せると。

このことは忘れてください。

あなたが知らなければならないのは余命三年の悪魔と天使の娘と余命百年の堕天使の少年の終末なのですから…。

再び眠りにつく、その前に自分の娘が終末を迎える時を見守るとしましょう。


そう、暇つぶしとして。

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