６２話 ページ15
気が付くとリツカはどこかの世界にいた。
見渡す限り青空。ほんの少し進むとそこに一本のナイフが落ちているのが見える。
今は亡き親友である葛葉アズナのものだ。
「アズナ…。」
そっと握りしめる。
とその時、バシャンと何か水のようなものが跳ねる音がした。
目を凝らせば近くに海がある。
リツカはそこに寄った。岸辺には大きな揺り籠があり、中を覗けばAとシキが寝息を立てた眠っていた。
お互いの愛のあかしとでもいうのかしっかりと手を握って。
「起こしてはダメよ。」
揺り籠の後ろから声がした。
先ほどの水音の正体は彼女だった。
黒い髪と黒い瞳。Maryそのものだった。
だが、下半身は魚の人魚のような姿で揺り籠の中の二人を眺めている。
「あなたは誰？」
リツカの問いに彼女は微笑みながら答えた。
「私はメアリーよ。メアリー＝グリモワール。」
「グリモワール？でもそれって…」
「あなたの中の力そのもの？ええその通りよ。だけどわたくしめもグリモワールそのもの。どちらもグリモワールなのですよ、マリアの娘。」
「‼母さんを知っているの？」
メアリーは人差し指を口に当てた。
「大きな声を出さないでくださる？この子達を起こしたくないの。」
「二人をどうする気なの。」
「質問が多いのね…。最初に答えてほしいのはどっちの質問かしら？どうせ時間はたっぷりあるわけだしね。今日はあなたの誕生日だから特別になんでもこたえてあげるわよ。」
「じゃあ、後の方…。」
「ふふふ、この二人ね…。」
メアリーはAの髪を撫でた。
「精神だけこっちに閉じ込めてどちらかの身体を頂くのもいいけど…。やっぱり気に入ったものはコレクションしたくなるのよね。まだどうするかなんて決めていないわ。」
メアリーは残酷な笑みを浮かべた。
リツカはその笑みに身震いした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
隠(プロフ) - BAT ENDではなくBAD ENDだと思うのですが…… (2017年11月3日 20時) (携帯から) (
レス) id: c4241e28be (このIDを非表示/違反報告)
あい - 凄く面白いです！更新楽しみにしてます。 (2016年2月7日 11時) (レス) id: c503bd2bf1 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀聖瑠(プロフ) - 雫石さん» ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします (2016年1月27日 20時) (レス) id: 1f2f759d77 (このIDを非表示/違反報告)
雫石(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しませて貰っています！(*´ω｀*) (2016年1月27日 17時) (レス) id: 7d08b6c3ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
