ねぇ、 【 紫 】

7 ページ8

*








病院についてすぐ、2針縫っていただいて。



幸い傷口は浅かったらしく、

安静にしていれば綺麗に塞がる、とのことでした。









『免疫が低下してるから、傷口からの感染症には人一倍気をつけてね。』








免疫力の低下は、

ふっかの病気の代表的な症状の1つ。









この時すでに、ふっかの免疫は、

それまでの7割程度しか仕事をしていなかったそうです。










.










.














傷が塞がるまでの間、

半ば強制的に、2週間、舞台を欠席したふっか。









やっと出演を再開できる頃には、


彼の細いその腕に、繰り返される点滴による

痛々しい痣が広がってきていて。









＿＿＿メイクさんってやっぱすげぇよな。笑










公演毎、撮影毎にコンシーラーを重ねて、

その度に、そう笑っていたのを覚えています。











.











進行が早いと言われたふっかの病気は

言われた通り、脅威のスピードで彼を苦しめていきました。










『っはぁ、ごめ、』










著しい体力の低下に気がついたのも、ちょうどこの頃。






すぐに休憩を欲しがる、おじいちゃんのようなキャラは表向きで

同じ年代の方と比べれば体力には自信があったはずです。








そんな彼が、


たった2曲で過呼吸を起こすようになって。












緊迫した空気がリハ室を包む中、







『ふっか、なんの事かよくわかんねぇけどさ、俺たちに言えないこと？』







さすがにおかしいと、そう聞いてきたのは

真剣な顔をした翔太でした。












.

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す