彼も同じ。 ページ48
麻薬だ。彼を思うとその言葉が浮かぶ。
いつだってAの瞳は真っ直ぐで、綺麗で、光に照らされるそれはamberのようだ。瞬きが多くて、きょろきょろと忙しなく動く。その瞳がこちらを捉えると、胸が高鳴ってしまう。
触れる体温は高くて、優しくて、ずっとそれに浸っていたいと思わせるオーラが彼にはある。こちらからの触れ合いに対して薄い反応をしていたのに、少しずつ彼に対しての気持ちが強くなる毎にその反応も変わっていった。
Aが好きだ。その気持ちを自覚してからはどう触れて良いのか途端に分からなくなってしまって、傷付けてしまうことが怖くて、なかなか以前のように接する事ができなくて。そんな自分を格好悪いとも思うけれど、それ以上に知らない自分を引き出したAに対しての気持ちがまた強くなる。
この気持ちを持ったまま触れたら、Aは今度はどんな反応を返してくれるのだろう？ 手を繋いでみると、意外にもすんなりと受け入れられて嬉しくなる。ちらりと隣のAを見ると、彼もほんのり嬉しそうな顔をしているように見えて、たまらなくなる。離れ難くなるし、もっと絡ませたいと思った。
もっと俺の事を知って欲しい。もっとAの事を教えて欲しい。だから彼からの問い掛けがなんてことない内容だとしても、それが嬉しくて浮かれてしまう。
己の滑りを見て目が離せずに見惚れているAをひどく愛しく思い、好きだよと声には出さずに胸の内で囁いて頬を撫でる。嫌がらずに、避けずに、紅潮した頬で見つめられると、それがまるで己の囁きに対する答えにも見えてしまって。本当に口からその言葉が零れてしまいそうで。
拒絶されない事で余計に気持ちが止まらずに、顎を掬い唇を寄せた。どんな反応をする？そう目を細めていたら、Aは大人しく目を伏せた。受け入れられた。こんなことって。歓喜で震えそうな手を、撫でる事で誤魔化してこちらも目を伏せた。
結果的に予想外の来客により未遂に終わったが、この一瞬の出来事に動揺しているのはAだけではない。俺も同じだ。
おまけに眉を下げて赤い頬で俯いて、小さな声で離してなんて懇願されて、そんな可愛らしい反応にそのまま離すなんて出来るわけがなく、鼻先に口付けて来客の元へ。
赤くなった顔を隠すように、緩んだ口元を隠すように、手で口元を覆いながら二人のユーリに滑り寄る。
情けない顔を二人に見られ首を傾げられたので、「なんでもないよ」と取り繕った。
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倉科(プロフ) - Kagaさん» わざわざ返信ありがとうございます…!!続編も応援しているので、頑張って下さい!※長引かせると申し訳ないので返信は不要です。 (2016年12月5日 11時) (
レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - びわさん» びわさんはじめまして、コメントありがとうございます！何度も読み返して頂けているなんて光栄です(;_;)少しずつヴィクトルに変えられていく彼や周りの人間、ヴィクトル本人の動きをこれからも楽しみにして頂けると嬉しいです^^* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - 倉科さん» 倉科さんはじめまして、コメントありがとうございます！描写は細かく頭で映像を浮かべやすいように、と心掛けていたので嬉しいです(;_;)これからもまだまだ続きますので、またお読み頂けると嬉しいです！´`* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
びわ - 他の小説にはない豊かな表現がとても好きで何度も読み返しています。主人公の心情が動いていくさま、過去のことなど話の構成が面白いです。これからも応援しております。 (2016年12月5日 2時) (レス) id: be5139214a (このIDを非表示/違反報告)
倉科(プロフ) - コメント失礼します。このサイトではあまり見かけないとても分かりやすく鮮やかな描写が素敵で一気に読んでしましました…ｗ凄く引き込まれてまだまだ続きが気になります。更新を日頃の楽しみにしつつ読ませていただきますのでこれからも頑張って下さい。 (2016年12月4日 23時) (レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kaga | 作者ホームページ：https://twitter.com/kaga_yoi
作成日時：2016年11月6日 21時
